今はあまり聞かなくなった「再就職支援」。
07問題で中高年の解雇というより、退職予防という時代。
けど、今でも日本の企業では倒産や業績悪化がとまらない
一面もある。
先日もとある中堅メーカーの人員整理案件で複数の対象者
と面談をした。
これまでもリプレースメント面談は仕事でしてきたし、自分
ではそんなに抵抗がないつもりでいた。
けど、先日の面談はちょっと違った。
大半が50代前半の方々で、新卒から一途に会社に就業して
きた方がほとんど。
技術者を除く営業、事務関連の部門での面談だった。
これまでもこの手の退職勧奨や整理解雇の面談では、家族
の事情、子供の学費、住宅ローンなど様々な現実を理由に
拒まれ、叫ばれ、泣かれる場面があったが、今回は大半が
特に抵抗もなくこちらの退職条件を淡々と聞いている。
で、最後に・・・
「今回の件はすべて弁護士を通してもらいます」
というものだった。
どうやら、対象者が複数名で顧問弁護士を雇い、有利な条件
なのか、法的過誤自体の見直しを進めるようだった。
しかし、会社も馬鹿じゃない。
こんな事態はリーガル対策として万全にしての「実行」なのだ。
弁護士も個人顧客より法人顧客なのか、担当弁護士も法務
の弁護士面談にあっさりと引き下がった。
個人的にどのような視点で今回の労使問題を請け負ったのか
聞いてみたが、答えは愕然とするものだった・・・
「この手の紛争は短期間で終わるか、長期化するか、いずれに
しても街弁(待ちで独立開業する弁護士)にはFee対価が高い
ので協会からの紹介案件で多いんですよ」
と。
所詮弁護士も生活があるしな。
そりゃそうだよな。
結局、整理対象の人員は猶予期間を含み今夏にも会社を去る
ことになった。
くだりだけ見るとこの会社が冷たいように感じるかもしれないが、
同社はこの実施を前に担当役員はじめ、主要管理職はすべて
引責辞任している。
代表含め、残留組の給与カットも3割以上実行しており賞与も
すべて凍結。
責任を取らない経営者が少なくない中、同社は自らも血を流し
身体を削ってきた。
いざなぎ景気を超える「好景気」といわれる中、こんな現実も
あることを改めて勉強させられた。