袴田巌さん、再審判決公判で無罪判決。 | じろう丸の徒然日記

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2024年9月26日、ようやくその判決は下った。
 
1966年に起きた「静岡一家4人殺害事件」犯人として逮捕され、死刑判決を受けていた、袴田巌さんやり直し裁判静岡地裁で行われ、無罪の判決が下された。
控訴期限は10月10日までで、それまでに検察控訴をしなければ袴田さん無罪が確定する。

 
ちなみにこの判決を受け、新潟県弁護士会を含む13弁護士会関東弁護士会連合会9月26日、こんな連名の声明を出している。
 
この判決について検察官上訴権を放棄することと、刑事訴訟法の再審に関する規定(再審法)を速やかに改正することを求める。
 
静岡地裁袴田さん無罪だと判断した理由は、袴田さんが犯人であるとされる元になった「証拠」が、すべて捏造されたものであると判明したことである。
 
では、誰が「証拠」を捏造したのか?
26日新潟日報デジタルプラスに掲載された「静岡地裁の再審無罪判決要旨」によれば、

(以下、引用)
 事件発生から約1年2カ月後にみそタンクから見つかり、犯行時の着衣とされた「5点の衣類」は、赤みを感じさせる血痕が付着している。しかし、実験結果や専門家の見解に基づくと、タンク内で1年以上みそ漬けした場合、血痕は赤みを失い、黒褐色化すると認められる。
(中略)
勾留中の被告が(タンク内に)入れることは事実上不可能だ。衣類はその発見から近い時期に被告以外の者によってタンク内に隠匿されたもので、犯行着衣ではない。
(引用、ここまで)
 
みそタンクの中から発見された5点の衣類は、犯人が犯行直後に入れたのなら、1年2ヵ月後の発見時には付着した血痕は黒くなっているはずだが、そうはなっていなかった。
発見時から近い時期に入れられたことは間違いなく、袴田さんはその当時ずっと拘留中だったのだから、袴田さん以外の人物が入れたのである。
そして、「静岡地裁の再審無罪判決要旨」は、以下、恐ろしい事実を私たちに伝えている。

 
(再び引用)
 5点の衣類は、何者かによって捏造されたと考えるほかない。真犯人や関係者の可能性も想定されるが、捜査機関以外の者が犯行着衣を加工し、発見に近い時期にタンク内に隠匿する事態はおよそ想定しがたい。被告は公判で否認に転じており、検察官としては有罪立証に困難が伴うと想定されていた。5点の衣類を除く当時の証拠関係によれば、被告が無罪になる可能性は否定できない状況にあり、捜査機関において、到底許容できない事態であったと認められる。5点の衣類は、犯行とは関係なく、事件から長期間経過後に捜査機関によって血痕を付けるなどの加工がされ、タンク内に隠匿された捏造の証拠である。
 
 被告の実家から押収された端切れも捜査機関の捏造と認められ、証拠から排除する。
(引用、終わり)
 
静岡地裁は、「証拠」を捏造したのは当時の捜査機関だったと断定したわけだ。
 
事件を捜査する者たち「証拠」を捏造して、無実の人を真犯人に仕立て上げる――。
この事実には、戦慄せざるを得ない‥‥。

 
【静岡朝日テレビニュース】
【袴田事件】事件から57年元捜査員の証言 当時みそタンクに5点の衣類が「なかったことは間違いない」

(公開日:2023年7月6日、再生時間:5分02秒)
 
袴田さんが逮捕されたのは1966年。今から58年前だから、当時袴田さん30歳だった。
現在88歳袴田さんは、長期間の拘束死刑執行の恐怖が原因なのだろう、精神の病に陥っていて、他者との意思の疎通が困難である。
それで、ひで子さん(91歳)が、無罪の判決が下ったことを、根気よく本人に言い聞かせた。

 
【時事通信映像センター】
「安心しな。良かったね」 袴田さんに無罪判決伝える 姉ひで子さん

(公開日:2024年9月27日、再生時間:2分42秒)
 
また、否定されたのは物的証拠だけでなく、「自白調書」もまた、警察官検察官の連携による非人道的な取り調べで作成されたものであり、実質的に捜査機関によって捏造されたと評価できるため、証拠とは認められず、否定された。
 
【朝日新聞デジタル】
「お前が4人を殺した」 無実訴える袴田さんを厳しく追及 当時の取り調べ音声

(公開日:2024年9月24日、再生時間:4分09秒)
 
なお、本件とは関係ないのだが、かの「森友学園問題」で、検察籠池泰典・諄子夫妻を、国からの補助金を不正に受給したとして、詐欺罪で逮捕、それから300日も勾留したのちに釈放したが、これも検察の異常性を示す一件だった。
なぜなら、補助金の不正受給なら、詐欺罪ではなく、補助金適正化法違反として不正受交付罪が適用されるのが通例なのである。
これは、この問題に関して、安倍晋三自分や妻が関わっていたら総理大臣も国会議員も辞めると言ってしまっているのに、籠池氏晋三やその妻の昭恵との関わりを隠そうともしないため、わざと不正受交付罪よりも重い詐欺罪を適用して、籠池氏「犯罪者」と印象づけて、晋三を守ろうとしたのではないか?

 
ちなみに籠池氏不正受給したとされる補助金全額返還しており、したがって逮捕が必要な事案ではなかった。
自身もかつては検察官で、今は弁護士郷原信郎さんは、この件は「適化法違反で、罰金刑ないし起訴猶予」というのが本来行われるべき適正な処分だったと、その著書『「単純化」という病』(朝日新書)の中で述べている。

 
どうも検察という組織を、純粋な正義の機関だとは思わない方が良いのかもしれない。
 
法律正義の女神

(人物素材:nakadakanさん https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=23770388&area=1
正義の女神ユースティティアS. Hermann & F. RichterによるPixabayからのフリー素材)
(背景:https://www.beiz.jp/からのフリー画像)