長崎を最後の被爆地に~原爆について正しく学ぼう。 | じろう丸の徒然日記

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私こと、じろう丸が、日常の出来事、思うことなどを、気まぐれに書き綴ります。

2023年8月9日
長崎市は、米軍原爆投下から78年「原爆の日」を迎えた。
折からの台風6号九州接近に伴い、長崎市主催「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」は、会場を例年の平和公園から、60年ぶりに屋内に変更し、規模を縮小しての開催となった。
今年の会場は、屋内施設「出島メッセ長崎」
出席したのは、4月に就任したばかりの鈴木史朗市長ら、市関係者約50人のみ。

 
本来なら、アメリカなど核保有国6カ国を含む過去最多の89カ国の駐日大使や都道府県の遺族代表らが参列する予定だった。
だが長崎市は、台風接近に伴う安全確保を理由に招待を見送らざるを得なくなった。
それで首相岸田文雄もまた出席せず、ビデオメッセージのみを寄こした。

 
そのビデオメッセージの中で、岸田文雄はこんなことを言っていた。
「G7広島サミットの確かな成果を土台として、核軍縮の進展に向けた機運をより一層高める」
 
鈴木市長は、実は被爆2世であり、初めて読み上げた平和宣言で、G7広島サミットで発表された広島ビジョンを踏まえ、核抑止論への依存を厳しく批判した。
 
「この広島ビジョンは核兵器を持つことで自国の安全を守るという『核抑止』を前提としています。核抑止に依存していては核兵器のない世界を実現することはできません」
 
鈴木市長はさらに、報道写真「赤い背中の少年」の被写体として知られる谷口稜曄(すみてる)さん(元日本原水爆被害者団体協議会代表委員、2017年に88歳で死去)の、原爆の熱線で背中が焼け爛れて生死をさまよった体験生前の言葉を紹介し、
「原子雲の下で人間に何が起こったのかという原点に立ち返るべきだ」
と述べたほか、ウクライナを侵攻するロシア核兵器による威嚇をしていることなどに対し
「『今、核戦争が始まったら、どんなことが起きるのか』という根源的な問いに向き合うべきだ」
と訴えた。
 
広島市松井一実市長同様、長崎市鈴木市長も、核兵器の抑止力を強く否定したのだ。
 
長崎市平和公園平和祈念像

(フリー画像:撮影者funboxphotoさん https://www.photo-ac.com/profile/3579484
 
ところで私は、今回のブログ更新をするにあたって、原爆関係の資料に目を通しているうちに、「模擬原爆」なるものの存在を初めて知った。
それはどういうものかというと、早い話がアメリカ本物の原爆を投下する前に、ほぼ同じ重量で同じ大きさと形状をした別の爆弾を使って、原爆投下の練習をしていたのである。
その練習用の爆弾を、それを知る人は「模擬原爆」と呼ぶ。

 
「模擬原爆」は、我が新潟県長岡市のほか、全国18都府県計49発が投下された。
原爆は、それを投下する当の飛行機が爆発に巻き込まれないよう、通常の飛行よりももっと高い約8500メートルの上空から投下する必要があった。
それで、「模擬原爆」を使って、目標地点に正確に投下する訓練をしたわけだ。

 
プルトニウムの代わりに火薬が詰め込まれていたそれは、例えば、長岡空襲12日前の1945年7月20日朝、長岡市左近町の畑に落とされるや大爆発を起こし、地面に直径18メートル、深さ5メートルにも達する大穴を生じさせ、畑仕事をしていた2人を含む4人の人を即死させた。
他に、負傷者5人、付近の31戸の家屋が甚大な被害を受けた。

 
「模擬原爆」はあまり知られていないが、前述したように全国18都府県に計49発が投下され、少なくない死傷者が出ている。
 
CBCニュース【CBCテレビ公式】
戦後75年~終戦前日に愛知県に落とされた“パンプキン爆弾”実は原爆投下の“練習”のため…その知られざる真実(8/14放送「チャント!」より)

(公開日:2020年8月14日、再生時間:8分06秒)
 
【テレビ大阪ニュース】
模擬原爆「パンプキン」投下から77年 語り継ぐ97歳「すぐに銃をぶっ放すという社会にはなってほしくない」

(公開日:2022年7月26日、再生時間:3分43秒)
 
【テレビ大阪ニュース】
【模擬原爆から78年】田辺の模擬原爆追悼式

(公開日:2023年7月26日、再生時間:1分20秒)
 
 ついでながら、最近、『バービー』というアメリカ映画がやり玉にあげられている。
この映画は、すでに8月11日から日本でも公開されているが、それより少し前に、この映画のヒロインが原爆の炎をバックにはしゃいでいる画像や、キノコ雲のような髪型をした画像がSNSに投稿され、それに製作元の映画会社好意的な反応をしたことから、日本では大炎上となった。
しかしながら、それらの画像アメリカグラフィックデザイナーショーン・ロングモアという人が勝手に作ったものであり、映画にはそのような場面は無い。
もちろん、この映画を制作したプロデューサーや監督や脚本家らにも、原爆を美化したりする意図はまったく無い。
つまり、映画自体には何の問題も無いのである。

 
アメリカでは、原爆を開発した科学者の苦悩を描いたシリアス映画『Oppenheimer(オペンハイマー)』が、『バービー』同じ日に公開されたことから、前述のグラフィックデザイナー両者を無理矢理合体させた画像を作ってネット上に挙げてしまった。
さらに、それに多くのアメリカの若者が好意を示し、両作品のタイトルを合体させた『Barbenheimer(バーベンハイマー)』という造語が生まれ、映画会社もそれに乗っかってしまった。
悪いのは件の画像と、それに好意を示した一部の軽率な人々である。

 
真に批判すべきは映画『バービー』ではなく、『バーベンハイマー』であると、これはハッキリと言っておきたい。
 
ながさきの平和【公式】
https://nagasakipeace.jp/
 
長崎原爆資料館・長崎市平和会館
https://nabmuseum.jp/genbaku/
 
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館
https://www.peace-nagasaki.go.jp/