1945年(唱和20年)8月15日の正午に、日本の降伏を全国民に知らせる、いわゆる「玉音放送」がラジオから流れ、ほとんどの国民が戦争が終わったことを知った。
それで、我が国ではこの日を「終戦記念日」、あるいは「終戦の日」としている。
毎年この日には、正午に、戦没者を追悼し、平和を祈念する目的で、それぞれの家庭や職場等で1分間の黙とうをささげる。
【全国戦没者追悼式(2023年8月15日撮影)】
(フリー画像:権威官邸ホームページ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)
先月発売された保守系の月刊誌『月刊日本』8月号に、TBSの『サンデーモーニング』でおなじみの寺島実郎(てらしま・じつろう)さん(一般財団法人日本総合研究所会長)の、実に興味深い意見が載っている。
『21世紀の国家構想「自立自尊」を基軸に据えよ』と題された、その記事には――。
曰く、20世紀は「大国の横暴」の時代だった。
すなわち、20世紀の世界システムの中心は米英の「アングロサクソン同盟」であり、冷戦期にはソ連・東側がそれに対峙する二極構造だった。
しかし、昨年に起きたガザ紛争に象徴されるように、中東秩序も含め20世紀の世界システムは機能不全になってしまっている。
それゆえ、21世紀は、グローバルサウス(南半球に多い新興国・途上国のこと)も含めて、すべての国々や様々な主体が対話や議論を行い、それぞれの多元的な理念や価値観を踏まえて世界のあり方を決めていくことになる。
実際、21世紀の現在もアメリカや中国、ロシアは対立しているが、それに対してグローバルサウスの国々はどちらか一方に与することなく、それぞれ独自の行動をとることも少なくない。
さらに、大国が世界を分断させようとすると、一致団結して「NO!」を突きつけている。
大国もそうした声を無視することはできなくなっていて、つまり、「大国の横暴」の時代は、もう終わったのだ。
【赤い部分がグローバルサウス(発展途上諸国)】
(フリー画像:スペシャル, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)
↑ちなみに、青い部分がグローバルノース(先進諸国)。国際連合貿易開発会議による分類。
しかしながら、日本のメディアや知識人の大半は、いまだに冷戦時代の発想から抜け出せずにいる。
米中対立や「民主主義体制 vs. 権威主義体制」という構図に引きずられ、21世紀は「分断の世紀」などと分析したりしているが、そうした二項対立の図式はもはや通用しないのだ。
日本はいまだに日米同盟、G7の枠組みにしがみついているが、これでは時代の潮流から取り残されてしまう。
寺島実郎さんは、同記事の中で、21世紀の世界システムに対応するための「日本再生の構想」というものをまとめたと述べている。
それは次の三つの柱から成っている。
(1)日米同盟の再設計と柔軟な多次元外交の創造
(2)アベノミクスとの決別とレジリエンス強化の産業創生
(3)戦後民主主義の錬磨
私が特に衝撃を受けたのは、(1)の柱についての寺島さんの次の問いかけである。
◆敗戦100年にあたる2045年に、まだ日本に米軍基地があるのか
↑これは、21世紀の外交・安全保障戦略を考える上で、日本人が真っ先に胸に手を当てて考えるべきことである。
「そもそも敗戦後100年も経って、外国軍が駐留している国を真の独立国家と呼ぶことはできません。」
と、寺島さんは述べているが、それはまさしくその通りだろう。
この(1)についての寺島さんの意見を次に引く。
(以下、引用)
米国内での議論をじっと聞いていると、建前上は日本の存在を「同盟国」として尊重するものの、本音では「保護領」(Protectorate)だと思っていることにすぐ気付くはずです。(中略)
果たして我々はそういう疑似独立国のまま敗戦後100年を迎えていいのか。この問いに「否!」と答えるならば、日本の自立自尊を懸けて「現代の条約改正」として日米同盟の再設計に取り組むべきです。
(引用、ここまで)
私は、日米同盟などは、再設計するよりきれいさっぱり解消した方がいいと思っているが、寺島さんの意見もなかなかに建設的だと思うので、その具体的な再設計案と、それによって期待されるその効果を次に引く。
(再び引用)
具体的には、すべての在日米軍基地・施設を総点検して、東アジアの平和と安定にとって本当に必要な在日米軍基地は維持しながら、段階的に縮小し、地位協定の改定に進んでいくべきです。
そのようにして、日本が米国の「保護領」ではなく、自らの意思を持った「独立国」として自立することで、西側以外の国々、特にアジアの国々との新次元での外交を展開することができるようになります。つまり、日本は日米同盟の再設計を通じて、新しい柔軟な多元外交を創造することができるのです。
(引用、終わり)
私は、日米同盟の再設計はともかく、日本が真の「独立国」となることには大賛成である。
それには、日本国内から米軍が一切居なくなることが必須だ。
『月刊日本』8月号には、日本がいまだに真の「独立国」になり得ていない証左を示す記事が、他に掲載されている。
やはり『サンデーモーニング』でおなじみの青木理さんが、その連載コラム『青木理の「飛耳長目」』で、「沖縄は日本なのか」と題して、日本とアメリカの関係の問題について書いている。
沖縄では米兵による性犯罪が何件も起きているが、最近の事例では、何と日本政府が事件発生の事実を沖縄県に伝えていなかった、という信じがたいことが発覚した。
いったい政府はどういうわけで、事件を沖縄県に伝えなかったのか。
青木理さんは、合理的に考えられる答えとして、次の三つを挙げる。
(1)米国や米軍に忖度した外交的な過剰配慮
(2)沖縄の反発が再び沸騰し、特に6月16日に投開票された沖縄県議選などへの影響を避けたい政治的思惑
(3)名護市辺野古への米軍基地建設への抵抗姿勢を崩さず、政府の意に沿おうとしない沖縄・玉城デニー県政への嫌がらせ
↑この三つのうちのどれか一つか、二つか、あるいはすべてか。私はすべてだと思っている。
一応、地元の県警幹部は非公表の理由として「性犯罪被害者のプライバシー配慮」を挙げ、政府もその判断を踏まえて沖縄県に事件発生の事実を伝えなかった、と官房長官らは強弁した。
しかし、性犯罪の現場の最前線で被害者保護やケアにあたるのは地元自治体である。その地元自治体たる沖縄県に事件のことを知らせないとは、明らかに間違った判断だろう。
別に事件そのものを公表しなくても、沖縄県にだけはそっと知らせるのは可能なはずである。
この事件における政府の姿勢を、地元の新聞『琉球新報』と『沖縄タイムス』が、7月6日のそれぞれの「社説」で強く非難しているが、ここではそのうちの『沖縄タイムス』のそれの一部を抜粋して紹介したい。
(以下、引用)
昨年12月の米兵の少女誘拐暴行事件で県警は米側に身柄の引き渡しを求めなかった。
1995年に起きた米兵による暴行事件をきっかけに、凶悪犯罪の場合、米側が応じれば起訴前に身柄の引き渡しができるようになった。
引き渡しを求めないのは「主権の放棄」にも等しい。
日本国内で日本人が被害者となった事件である。
合意事項を強化する方向に進めることこそ必要だ。
(引用、終わり)
日本国内で日本人が被害者となった事件であるにもかかわらず、容疑者の身柄の引き渡しを求めないのは「主権の放棄」にも等しい。
青木理さんは、上の『沖縄タイムス』の主張に、「まったくその通りではないか。」と同意し、「それとも日本政府は、沖縄県民を国民ではない、とでも認識しているのか」と憤っているが、私も同感である。
果たして、日本がアメリカの属国ではなく、真の「独立国」となる日は来るのだろうか。
つい昨日、X(旧ツイッター)を見ていたら、驚くべき情報が目に飛び込んできた。
何と、同人アニメサークル満福神社が、『幻想万華鏡』の第19話を制作するという。
えっ、『幻想万華鏡』は、去年の春、第18話『霊夢暗殺計画の章』で完結したはずでは !?
と、私はてっきり、これはデマではないかと思ったのですが‥‥。
件のXでの投稿は、どうやら『幻想万華鏡』の熱心なファンの人によるものらしいのですが、『幻想万華鏡』の作画監督るなむーさんがリツイートしている。
もしもデマならば、当然るなむーさんは否定するはず。
しかし、るなむーさんはリツイートはしたが、否定はしていない。
気になった私は、さっそく満福神社の公式ブログへ飛んでみました。
すると、まさしくそれは事実だったのです。
『幻想万華鏡』は、来年2025年で15周年を迎えることから、その記念企画として、2025年夏公開を目指して第19話の制作を開始したとのこと。
つまり、現在制作中なわけだから、予定通りにいけば、来年の夏にはDVDかBlu-rayが発売されるはずです。
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡15周年企画!
(公開日:2024年8月10日、再生時間:0分55秒)
上の予告動画によれば、内容は霧雨魔理沙を主人公としたオリジナルストーリーとのこと。
魔理沙がかつてない冒険に挑み、かつてない危機に陥るなど、大活躍するらしい。
(ふと思い出したのですが、第18話『霊夢暗殺計画の章』では、霊夢はちっとも活躍していませんでしたね。)
【『幻想万華鏡』19話の主役は魔理沙】
左から、博麗霊夢、アリス・マーガトロイド、霧雨魔理沙。
(背景:https://www.beiz.jp/からのフリー画像)
ところで私は、どうせオリジナルストーリーで『幻想万華鏡』を作るのなら、ぜひ登場させてほしいキャラクターがあります。
それは、森近霖之助(もりちか・りんのすけ)、茨木華扇(いばらき・かせん)、稗田阿求(ひえだのあきゅう)、本居小鈴(もとおり・こすず)、奥野田美宵(おくのだ・みよい)の5人。
【『幻想万華鏡』に出して欲しいキャラたち】
左から、茨木華扇、稗田阿求、森近霖之助、本居小鈴、奥野田美宵。
(背景:cocoancoさん https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=QCXDzarr&area=1)
もちろんこれは、私個人の願望であって、上記のキャラたちが『幻想万華鏡』第19話に出ると決まったわけではありませんので、誤解のないように願います。
もっとも、茨木華扇と奥野田美宵に関しては、アニメ本編にこそ出ていませんが、第17話のエンディングに、これも本編未登場の高麗野あうん(こまの・あうん)、山城たかね(やましろ・たかね)共々イラストで登場しています。
その可愛いイラストを描いたのは、パン山おにぎりさん。
なお、私がブログのアクセス解析などしていると、「幻想万華鏡どこで見れる」といったワードがよく出てきますが、いまだに知らない人が多いようですね。
『幻想万華鏡』は、あくまでサークルによる自主制作アニメなので、テレビで放送されることはありません。
観たい人は、そのサークル満福神社が出しているDVDかBlu-rayを買うか、最も手っ取り早いのは同サークルのYouTube公式チャンネルにアクセスすれば、第18話以外は全部観れます。
満福神社公式チャンネル
https://www.youtube.com/@manpukujinja
(第18話はヌードシーンが多いため、YouTubeのルールに引っかかるらしい。)
その他、同人ショップのメロンブックスで、第1話から4話までダウンロード販売が始まっています。
スマートフォンやタブレット、パソコンにダウンロードすれば、再生して観ることができます。
ただし、再生にはメロンブックスマルチプレイヤーという専用のアプリが必要で、Andoroid版・iPone版・PC版(Macもあるらしい)があって、それぞれGoogle PlayやApp Storeでダウンロードできるとのこと。
検討してみてください。
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡 第1話「春雪異変の章」DL販売予告編
(公開日:2024年6月19日、再生時間:1分18秒)
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡 第2~4話「紅霧異変の章」DL販売予告編
(公開日:2024年7月25日、再生時間:1分40秒)
゚。☆゚.+。゚..: :.*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○
※『東方Project』のその他の情報。
『大・東方Project展2024』(8月25日まで開催中)
https://tokyoanimecenter.jp/event/dai_touhouten2024/
『博麗神社夏祭り2024 in よみうりランド』(好評につき、8月19日まで延長決定)
https://hakurei-sukeikai.com/yomiuriland2024/
『東方LIVEBOX』(2024年8月30日開催)
https://hakurei-sukeikai.com/LIVEBOX20240830/
『(第十一回)博麗神社秋季例大祭』(2024年10月20日開催)
https://reitaisai.com/arts11/
(上の画像のキャラクター素材:dairiさん、はるかさん)
dairiさんのpixivのページ
https://www.pixiv.net/users/4920496
はるかさんの「ニコニコ静画」のページ
https://seiga.nicovideo.jp/seiga/im3189645
上海アリス幻樂団
満福神社
何と、同人アニメサークル満福神社が、『幻想万華鏡』の第19話を制作するという。
えっ、『幻想万華鏡』は、去年の春、第18話『霊夢暗殺計画の章』で完結したはずでは !?
と、私はてっきり、これはデマではないかと思ったのですが‥‥。
件のXでの投稿は、どうやら『幻想万華鏡』の熱心なファンの人によるものらしいのですが、『幻想万華鏡』の作画監督るなむーさんがリツイートしている。
もしもデマならば、当然るなむーさんは否定するはず。
しかし、るなむーさんはリツイートはしたが、否定はしていない。
気になった私は、さっそく満福神社の公式ブログへ飛んでみました。
すると、まさしくそれは事実だったのです。
『幻想万華鏡』は、来年2025年で15周年を迎えることから、その記念企画として、2025年夏公開を目指して第19話の制作を開始したとのこと。
つまり、現在制作中なわけだから、予定通りにいけば、来年の夏にはDVDかBlu-rayが発売されるはずです。
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡15周年企画!
(公開日:2024年8月10日、再生時間:0分55秒)
上の予告動画によれば、内容は霧雨魔理沙を主人公としたオリジナルストーリーとのこと。
魔理沙がかつてない冒険に挑み、かつてない危機に陥るなど、大活躍するらしい。
(ふと思い出したのですが、第18話『霊夢暗殺計画の章』では、霊夢はちっとも活躍していませんでしたね。)
【『幻想万華鏡』19話の主役は魔理沙】
左から、博麗霊夢、アリス・マーガトロイド、霧雨魔理沙。
(背景:https://www.beiz.jp/からのフリー画像)
ところで私は、どうせオリジナルストーリーで『幻想万華鏡』を作るのなら、ぜひ登場させてほしいキャラクターがあります。
それは、森近霖之助(もりちか・りんのすけ)、茨木華扇(いばらき・かせん)、稗田阿求(ひえだのあきゅう)、本居小鈴(もとおり・こすず)、奥野田美宵(おくのだ・みよい)の5人。
【『幻想万華鏡』に出して欲しいキャラたち】
左から、茨木華扇、稗田阿求、森近霖之助、本居小鈴、奥野田美宵。
(背景:cocoancoさん https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=QCXDzarr&area=1)
もちろんこれは、私個人の願望であって、上記のキャラたちが『幻想万華鏡』第19話に出ると決まったわけではありませんので、誤解のないように願います。
もっとも、茨木華扇と奥野田美宵に関しては、アニメ本編にこそ出ていませんが、第17話のエンディングに、これも本編未登場の高麗野あうん(こまの・あうん)、山城たかね(やましろ・たかね)共々イラストで登場しています。
その可愛いイラストを描いたのは、パン山おにぎりさん。
なお、私がブログのアクセス解析などしていると、「幻想万華鏡どこで見れる」といったワードがよく出てきますが、いまだに知らない人が多いようですね。
『幻想万華鏡』は、あくまでサークルによる自主制作アニメなので、テレビで放送されることはありません。
観たい人は、そのサークル満福神社が出しているDVDかBlu-rayを買うか、最も手っ取り早いのは同サークルのYouTube公式チャンネルにアクセスすれば、第18話以外は全部観れます。
満福神社公式チャンネル
https://www.youtube.com/@manpukujinja
(第18話はヌードシーンが多いため、YouTubeのルールに引っかかるらしい。)
その他、同人ショップのメロンブックスで、第1話から4話までダウンロード販売が始まっています。
スマートフォンやタブレット、パソコンにダウンロードすれば、再生して観ることができます。
ただし、再生にはメロンブックスマルチプレイヤーという専用のアプリが必要で、Andoroid版・iPone版・PC版(Macもあるらしい)があって、それぞれGoogle PlayやApp Storeでダウンロードできるとのこと。
検討してみてください。
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡 第1話「春雪異変の章」DL販売予告編
(公開日:2024年6月19日、再生時間:1分18秒)
【満福神社公式 manpukujinja】
幻想万華鏡 第2~4話「紅霧異変の章」DL販売予告編
(公開日:2024年7月25日、再生時間:1分40秒)
゚。☆゚.+。゚..: :.*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○
※『東方Project』のその他の情報。
『大・東方Project展2024』(8月25日まで開催中)
https://tokyoanimecenter.jp/event/dai_touhouten2024/
『博麗神社夏祭り2024 in よみうりランド』(好評につき、8月19日まで延長決定)
https://hakurei-sukeikai.com/yomiuriland2024/
『東方LIVEBOX』(2024年8月30日開催)
https://hakurei-sukeikai.com/LIVEBOX20240830/
『(第十一回)博麗神社秋季例大祭』(2024年10月20日開催)
https://reitaisai.com/arts11/
(上の画像のキャラクター素材:dairiさん、はるかさん)
dairiさんのpixivのページ
https://www.pixiv.net/users/4920496
はるかさんの「ニコニコ静画」のページ
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上海アリス幻樂団
満福神社
1945年の広島と長崎への原爆投下から79年が経った。
8月6日には広島市で、9日には長崎市で平和祈念式典が執り行われたが、今年は驚くべき事態となった。
【平和祈念像と原爆ドーム】
(使用した背景と素材:yoseiさん https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=2Ba81VWu&area=1)
現在、パレスチナ自治区ガザでイスラエルの軍事攻撃による犠牲者が増え続けている。
月刊誌『地平』9月号の宮崎園子記者による報道によれば――。
今年の5月に、広島市の市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」(以下、「ともしび」)は、8月6日の平和祈念式典にイスラエル代表を招待しないことを求める2万5000筆あまりの署名を、式典を所管する広島市の市民活動推進課に届けた。
「イスラエルはこれまでも国際人道法や国際人権法に違反しながらも国家としての責任を果たそうとせず、閣僚が核兵器の使用まで言及している。広島市はジェノサイドの被害の地として、核兵器廃絶を訴える国際平和文化都市として、イスラエルに対し断固とした態度をとるべきだ」
それが「ともしび」の考えだったが、応対した課長は、イスラエル招待の方針は変わらない旨を淡々と述べたという。
実際、この式典には109カ国と欧州連合代表、そしてイスラエル代表も参加した。
核保有国たるイスラエルの暴挙に対して、被爆地・広島市は沈黙してしまったのである。
『東京新聞』の8月9日の報道によれば、今年の広島市の平和記念式典では、初めて入場規制が平和記念公園全域に広げられ、一部の市民団体に退去命令が出された。
この市民団体はこれまでも原爆ドーム前で反戦反核を訴えてきたのだが、今年は一方的に活動を規制された。おそらくこの市民団体は、前述の「ともしび」だろう。
ちなみに広島市は、ウクライナと戦争状態にあるロシアと、それに協力しているベラルーシを招待していない。
それなのにイスラエルに対しては、一応停戦のメッセージを記したうえで、とはいえ例年通り招待するというのだから、ダブルスタンダードではないのか。
記者会見でそのように指摘された松井一実市長は、逆ギレして否定したという。
ちなみに、これも『地平』9月号の同記事が伝えるところによると、この現在4期目の松井市長、就任当初から12年にわたって「爾臣民」の文言も含めた教育勅語を引用した資料を、新人職員研修で使用し続けてきたと、共同通信にすっぱ抜かれた。
もちろん教育勅語は、国民に天皇と国家への忠誠を説いたもので、国民主権の日本国憲法の精神に反するものであり、国会で失効決議されている。
にもかかわらず松井市長は「民主主義的な発想がある」などと強弁し、引き続き使用すると宣言したのだとか。ヴァカとしか言いようがない。
一方、長崎市(鈴木史朗市長)は、ロシアもベラルーシもイスラエルも、いずれも招待しなかった。
そのため長崎市は、アメリカをはじめとするG7各国(日本をのぞくカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国)から反発を食らった。
しかし『日刊ゲンダイDIGITAL』は8月9日の記事で、そんな長崎市の対応を次のように評価している。
(以下、引用)
しかし、市の判断は極めてまっとうだろう。大前提として、一方的にウクライナに侵攻したロシアと、ハマスの攻撃を受けて戦闘を始めたイスラエルの事情は異なっている。
ただ、イスラエルがいま、実施している攻撃は「自衛」の範囲を超えた「殺戮」と言うしかない。ガザ地区では子供を含めた犠牲者が約4万人にも上っているのだ。
ロシアもイスラエルも市民の殺戮を現在進行形で進めている国に違いはない。ロシアを非難する一方、イスラエルを擁護する欧米こそダブルスタンダードで、批判されるべきだろう。そうした二重基準にとらわれず、ロシアとイスラエル双方の招待を見送った長崎市は、世界平和を願う被爆地の矜持を示したと言える。
(引用、終わり)
かつて「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」と言われた時代があった。
だが今は、「沈黙のヒロシマ、怒りのナガサキ」という形容が相応しい。
一方、おヴァカな広島市長と違って、広島県知事の湯崎英彦さんはしっかりした人だ。
8月9日の『日刊ゲンダイDIGITAL』で、音楽プロデューサーの松尾潔さんが、8月6日の朝8時にNHKで放送された広島平和記念式典中継のことを書いているのだが、これが面白い。
松井市長とご当地出身の岸田首相のスピーチがいかにも空疎に感じられたのとは対照的に、湯崎県知事は、具体的な国名こそ出さなかったものの、明らかにイスラエルを非難していたのだそうだ。
しかもNHKは、そのスピーチに被せてイスラエル大使の表情を大写しにしたのだとか。
NHKも、なかなかヤルではありませんか。
以下、湯崎県知事のスピーチから一部引用する。
湯崎県知事は弥生時代の昔から世界中で戦争が続いていると前置きしたうえで、次のように述べる。
(引用)
いわゆる現実主義者は、だからこそ、力には力を、と言う。核兵器には、核兵器を。しかし、そこでは、もう一つの現実は意図的に無視されています。人類が発明してかつて使われなかった兵器はない。禁止された化学兵器も引き続き使われている。核兵器も、それが存在する限り必ずいつか再び使われることになるでしょう。
私たちは、真の現実主義者にならなければなりません。核廃絶は遠くに掲げる理想ではないのです。今、必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題です。
(中略)
現実を直視することのできる世界の皆さん、私たちが行うべきことは、核兵器廃絶を本当に実現するため、資源を思い切って投入することです。想像してください。核兵器維持増強の十分の一の1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう。
(引用、終わり)
私は、湯崎英彦さんに対して、よくぞ言ってくださいました、と拍手を送りたい。
ただ祈っているだけでは平和は永遠に来ないのだ。
【広島県知事 湯﨑英彦さんの公式肖像】
(公式肖像:地方創生図鑑, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)
8月6日には広島市で、9日には長崎市で平和祈念式典が執り行われたが、今年は驚くべき事態となった。
【平和祈念像と原爆ドーム】
(使用した背景と素材:yoseiさん https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=2Ba81VWu&area=1)
現在、パレスチナ自治区ガザでイスラエルの軍事攻撃による犠牲者が増え続けている。
月刊誌『地平』9月号の宮崎園子記者による報道によれば――。
今年の5月に、広島市の市民団体「広島パレスチナともしび連帯共同体」(以下、「ともしび」)は、8月6日の平和祈念式典にイスラエル代表を招待しないことを求める2万5000筆あまりの署名を、式典を所管する広島市の市民活動推進課に届けた。
「イスラエルはこれまでも国際人道法や国際人権法に違反しながらも国家としての責任を果たそうとせず、閣僚が核兵器の使用まで言及している。広島市はジェノサイドの被害の地として、核兵器廃絶を訴える国際平和文化都市として、イスラエルに対し断固とした態度をとるべきだ」
それが「ともしび」の考えだったが、応対した課長は、イスラエル招待の方針は変わらない旨を淡々と述べたという。
実際、この式典には109カ国と欧州連合代表、そしてイスラエル代表も参加した。
核保有国たるイスラエルの暴挙に対して、被爆地・広島市は沈黙してしまったのである。
『東京新聞』の8月9日の報道によれば、今年の広島市の平和記念式典では、初めて入場規制が平和記念公園全域に広げられ、一部の市民団体に退去命令が出された。
この市民団体はこれまでも原爆ドーム前で反戦反核を訴えてきたのだが、今年は一方的に活動を規制された。おそらくこの市民団体は、前述の「ともしび」だろう。
ちなみに広島市は、ウクライナと戦争状態にあるロシアと、それに協力しているベラルーシを招待していない。
それなのにイスラエルに対しては、一応停戦のメッセージを記したうえで、とはいえ例年通り招待するというのだから、ダブルスタンダードではないのか。
記者会見でそのように指摘された松井一実市長は、逆ギレして否定したという。
ちなみに、これも『地平』9月号の同記事が伝えるところによると、この現在4期目の松井市長、就任当初から12年にわたって「爾臣民」の文言も含めた教育勅語を引用した資料を、新人職員研修で使用し続けてきたと、共同通信にすっぱ抜かれた。
もちろん教育勅語は、国民に天皇と国家への忠誠を説いたもので、国民主権の日本国憲法の精神に反するものであり、国会で失効決議されている。
にもかかわらず松井市長は「民主主義的な発想がある」などと強弁し、引き続き使用すると宣言したのだとか。ヴァカとしか言いようがない。
一方、長崎市(鈴木史朗市長)は、ロシアもベラルーシもイスラエルも、いずれも招待しなかった。
そのため長崎市は、アメリカをはじめとするG7各国(日本をのぞくカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国)から反発を食らった。
しかし『日刊ゲンダイDIGITAL』は8月9日の記事で、そんな長崎市の対応を次のように評価している。
(以下、引用)
しかし、市の判断は極めてまっとうだろう。大前提として、一方的にウクライナに侵攻したロシアと、ハマスの攻撃を受けて戦闘を始めたイスラエルの事情は異なっている。
ただ、イスラエルがいま、実施している攻撃は「自衛」の範囲を超えた「殺戮」と言うしかない。ガザ地区では子供を含めた犠牲者が約4万人にも上っているのだ。
ロシアもイスラエルも市民の殺戮を現在進行形で進めている国に違いはない。ロシアを非難する一方、イスラエルを擁護する欧米こそダブルスタンダードで、批判されるべきだろう。そうした二重基準にとらわれず、ロシアとイスラエル双方の招待を見送った長崎市は、世界平和を願う被爆地の矜持を示したと言える。
(引用、終わり)
かつて「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」と言われた時代があった。
だが今は、「沈黙のヒロシマ、怒りのナガサキ」という形容が相応しい。
一方、おヴァカな広島市長と違って、広島県知事の湯崎英彦さんはしっかりした人だ。
8月9日の『日刊ゲンダイDIGITAL』で、音楽プロデューサーの松尾潔さんが、8月6日の朝8時にNHKで放送された広島平和記念式典中継のことを書いているのだが、これが面白い。
松井市長とご当地出身の岸田首相のスピーチがいかにも空疎に感じられたのとは対照的に、湯崎県知事は、具体的な国名こそ出さなかったものの、明らかにイスラエルを非難していたのだそうだ。
しかもNHKは、そのスピーチに被せてイスラエル大使の表情を大写しにしたのだとか。
NHKも、なかなかヤルではありませんか。
以下、湯崎県知事のスピーチから一部引用する。
湯崎県知事は弥生時代の昔から世界中で戦争が続いていると前置きしたうえで、次のように述べる。
(引用)
いわゆる現実主義者は、だからこそ、力には力を、と言う。核兵器には、核兵器を。しかし、そこでは、もう一つの現実は意図的に無視されています。人類が発明してかつて使われなかった兵器はない。禁止された化学兵器も引き続き使われている。核兵器も、それが存在する限り必ずいつか再び使われることになるでしょう。
私たちは、真の現実主義者にならなければなりません。核廃絶は遠くに掲げる理想ではないのです。今、必死に取り組まなければならない、人類存続に関わる差し迫った現実の問題です。
(中略)
現実を直視することのできる世界の皆さん、私たちが行うべきことは、核兵器廃絶を本当に実現するため、資源を思い切って投入することです。想像してください。核兵器維持増強の十分の一の1.4兆円や数千人の専門家を投入すれば、核廃絶も具体的に大きく前進するでしょう。
(引用、終わり)
私は、湯崎英彦さんに対して、よくぞ言ってくださいました、と拍手を送りたい。
ただ祈っているだけでは平和は永遠に来ないのだ。
【広島県知事 湯﨑英彦さんの公式肖像】
(公式肖像:地方創生図鑑, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)