34年前、、それぞれの運命が交錯した日 | 次郎長ブルース2

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ロッカー・次郎長 の、気まぐれなブルース


井上尚弥とネリの試合が決まったなー
タイソンの試合以来34年ぶりの東京ドームだとか。
ネリは 昔の山中チャンプとの顛末による日本国内の試合禁止が案の定解かれて
しかし、記者会見での席での態度と日本のファン、当時の関係者への謝罪の言葉、さらに元チャンプの山中氏への直接謝罪もあったので、ともかく と。
ネットでは色んな人達が「あんなの形だけに決まってる」とかなんとかいろいろコメが飛びかってるが しかし、じゃあ他にどうせえっちゅうねん?てことやし、ビジネスやしね。
まあとにかくちゃんとルールと契約を守ってしっかりやっとくれ と。

で ネリはその問題児なイメージも相まって、一癖も二癖もあるやっかいな選手 というイメージがつきまとうが、実力はしっかりと伴っていて 井上チャンプにとってもあなどれない選手であることには違いない。

で、大雑把な予想だが
いつもなら井上チャンプが序盤はジャブをつきながら相手の動きをみて力量をはかり、それからペースを上げるというかんじなのだが、
うーん、これは予想というより、、
俺的な勝手な想像力でのストーリーだが
以外と、、
ふと、「これおもしろいかも?」と思うのが、、
初回ゴングと同時に井上チャンプがいきなりラッシュして先制攻撃をしかけるというもの。
本来の定番予想でいうなら、ネリがいきなりそれを仕掛けるというのならあり得るしイメージもできるが
それを 井上チャンプのほうがやる、、
これ、めっちゃ面白いんじゃないかな。
ネリは、スロースターターとは言わないが、決して初回から飛ばしてくる選手でもなさそうだし その出鼻、ネリのエンジンが暖まる前に完全に、まるで、普段スロースターターと言われていたハグラーがハーンズとの戦いでとった序盤から打ち合いにいった作戦のように、リズムを崩してしまえば と、突飛な想像をしてみた。

本来は井上チャンプとしては、ちゃんとボクシングに付き合った上での完封を見せたいプライドがあると思うのだが
そこをあえて。
てか、それくらい、侮らないほうがいい相手だと思ってつっかかっていってKOを「強奪」するくらいの気でいったほうがいいような気がする。井上チャンプにして。
エンジンが暖まってきたら一癖も二癖もあるネリは決して侮れない。
殺す気でいったほうがいい時もあるとするなら、今回ちょっと、そんな突飛なスタートを期待しちゃうなあ。。

井上チャンプは多分 普段ならアンダーカードも含めたその興行自体すら頭に入れながら 「俺が大トリでなにを見せて満足させられるか?」みたいなことすら考えて組み立てているかも?しれないが
今回のアンダーカードは 弟の拓真も含めて世界戦が他に3つも入っていて
だから、ほっといてもお客さんはお腹いっぱいになるだろうから、そのへんはもう気にせずに、初回からぶっ飛ばして嵐のようにさっと片付けちまう と、
そんなことも選択できるんじゃないか?
とも思うので。


〜〜
東京ドームで34年ぶり、、、
そう、34年前、マイクタイソンがジェームスバスターダグラスに世紀の番狂わせでKO負けを喫し、統一ヘビー級王座を失った時以来になるのだが
俺的には そう、前座で、プロまだ2戦目の辰吉丈一郎の試合が初めてテレビで流された日という印象が強い。
日本のファンが、噂で聞いていた辰吉の試合を初めて見た日だ。
それを見た時に俺は、「こいつの成長と、いずれ来る落日まで全部追っかけて見てやろう、、」と思った。
とにかく たった2Rのパフォーマンスだったが、その動きには それまでの日本人ボクサーにはなかった幾多の才能が散りばめられていた。
一発で「ボクシングファン」というよりは「辰吉ファン」になった。
そのくらい、強烈なインパクトを与えた辰吉は もう4戦目の日本タイトルの頃には全国的な人気者に急成長していた。

もとい

で、その、タイソンが世紀の番狂わせで初黒星を喫し辰吉という天才が現れた、その日の東京ドームの試合の中に もう一つ、印象的な光景があった。
長らく日本人の世界戦連敗が続いていた冬の時代に 世界王者ではなくても日本のリングを盛り上げた高橋ナオトの落日の日でもあった。。
バンタムとJフェザー(Sバンタム)、2階級の日本タイトルを制覇して、やはりかつて天才と言われ、次の世界チャンピオン候補のトップを走っていた高橋ナオト、
しかし 決して打たれ強くはない顎に数々の激戦からくる体の衰えがのしかかっていたのだろう、 〜宿敵島袋忠との激闘や、日本史上最高の日本タイトルマッチとして未だに長く語り継がれるマーク堀越との激闘などを経て、、 試合のたびに、ダウンを喫してからの逆転KOがいつしか売りになっていった高橋、 晩年は「逆転の貴公子」と言われた。
絶妙なタイミングでの右クロスのカウンターに、ボクシングファンや関係者から天才の名をほしいままにして、高校生のころからプロのリングに上がり続けた高橋ナオト、

〜この東京ドームの時の相手は 直近の試合で やはりダウン応酬の末に逆転KOで下した タイのノリ ジョッキージムとの再戦。正直ファンの目からしても、直近の試合を見るかぎりいきなりの再戦は荷が重い気がした。
しかし高橋のジムはスパルタで知られたジム、会長で この再戦をスッキリと勝たなければその先の世界戦はやってこないぞ!といわんばかりのマッチメークであることは なんとなく推察されたものだ。

そして 案の定、、
長年の激闘でダメージも少なくなかった天才高橋の体は ノリのパンチに、前回以上に切り刻まれた。。
ノリは前回の反省を生かして、高橋のパンチを警戒して、完全なヒットアンドアウェイに出た。絶対に深追いせずに、まるでコンピューターのように冷静に戦った。
打っては離れ
打っては離れ、
決して不用意に深追いした追撃はせずに
高橋を少しづつ切り刻みながら、ダメージを冷静に分析しながら進めるクールな戦法。
こうなると、、高橋に、捨て身での反撃のチャンス、可能性の芽は完全についばまれる。 なすすべもなく、前回の対戦とは似ても似つかぬほど一方的に切り刻まれていき、反撃のチャンスもつかませてもらえないままリングに沈んだ。。

その後の高橋は おそらく長年のダメージの蓄積から少しパンチドランクになっていき、それから数戦して毎回派手に倒され、かつて天才と言われた日本ボクシング界のホープはほどなく引退した。

その、高橋の落日を印象づけることになったのが、この東京ドームのリングだったのだ。

そして 俺には忘れられない印象的な絵があって
〜テレビでは、高橋の試合が終わってからCMをはさみ、次に2戦目の辰吉の試合へとうつるのだけど
その高橋の、負けてリングをおりて控室に引き上げて歩いてゆく寂しい後ろ姿と すぐ後にリングに上がるべく控室から歩いてくる、世間的にはまだ無名のデビュー間もない辰吉が一瞬すれ違う絵ヅラが映るのだ。

落日の、リングを去る、かつて天才といわれた男の後ろ姿と
これから世の中に出てゆき新たな伝説を作ることになる次の時代の天才が交錯する、その瞬間を捉えた画面。。。


地球上最強といわれた男の落日と
かつての天才の落日、
あらたな伝説の始まり、

それぞれの運命が交錯した日、

それが、34年前のあの東京ドームなのだ。


〜〜
ついでだが 前回書いた中谷潤人の動画をちらほら少し観た。
長身サウスポーの特性を生かしたボクシングで 若くして3階級制覇はすばらしい。
が、ひとつ思ったのは
攻撃のリズムかな。
中谷の攻撃は 詰めに入る時は別として
普段の動きでは だいたいがワン・ツー、もしくはワン・ツー、スリーあたりで終止している。
あと ワン・ツーのあとのスリーは、ワン・ツー直後に半拍か一拍おいてのスリーが多い。
多分、これ、体の癖なのだろう。

将来井上チャンプとの対戦も期待されているが 少なくとも井上チャンプレベルになると このリズムの癖は致命傷になるかもしれないな。。


〜〜
日本人初の統一王者は渡辺二郎だと、以前書いた。
しかし 正確に言うと、
自ら他団体のベルトを統一しにいっての初の王者という意味で
その昔
WBCがWBAから分かれた時に世界王者だった人は 必然的にWBAとWBC、同時にタイトルホルダーに認定されていた人もいて
そういう意味では、
藤猛や輪島功一、小林宏など、たまたまその時王者だったからWBA/WBC王者 つまり、今でいう統一王者だったことがあったのだ。

まあそれは WBCがWBAから分かれて派生した時の産物なのだが

言葉で聞くと
例えば輪島功一などは

WBA/WBC統一世界Jミドル(Sウェルター)級チャンピオン輪島功一  なんて、

嗚呼
なんて素敵な響きなんだ。。。! (笑)



ふう 書き始めたら止まらなくなったHa〜Ha だよ。


おしまい。

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