大相撲 年寄延長雇用制度の弊害 | jiro-sumo-iのブログ

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6月1日、元幕内の石浦の引退、年寄間垣襲名のニュースを聞き、「あれっ?」と思いました。

「あれっ?」は、引退ではなく年寄襲名に関してです。

石浦は昨年春場所の途中で首を負傷し、そのまま休場。

その後、回復せず1日も土俵に立つことなく休場を続け、5月場所は序二段まで番付を下げてました。

33歳という年齢からして、再起は厳しいと思ってました。

なので、引退は已む無しとして、間垣襲名に関してですが、前間垣親方は65歳定年を超えて70歳までの延長雇用期間に入っており、満了まで4年ほどあります。

石浦が間垣を襲名するということは、自ら身を引くことを意味します。

どういう事情であったのか知る由もありませんが、親方として弟子に協会に残る道を与えるべく身を引く決断をしたのであれば、英断として称賛すべきことでしょう。

 

現役を引退して年寄(親方)として協会に残るためには、日本国籍を持ち、現役中に一定以上の成績を残した上で、105ある年寄株の1つを取得する必要があります。

つまり、相撲協会は年寄の雇用は105人までしか認めてないということです。

その年寄株取得には億単位の金が必要と言われます。

取得を巡って過去裁判沙汰になったこともあり、その際に2~3億円のお金の話が出たことは事実です。

ただ、取得すれば不祥事でクビにならない限り定年まで雇用してもらえます。

仮に取得に3億円かけたとします。

年寄の年収は地位によって異なりますが、平均1500万円程度です。

もし35歳で引退して65歳の定年まで30年在籍すると、4.5億円の収入になるので、3億円かけても取得したいと思うでしょう。

更に年寄をやめる時は、株を譲渡すればまた金が入ります。

 

ただ、いくら実績と金があっても、年寄株の空きがなければ取得できません。

5月場所前に引退した逸ノ城は、引退後は年寄として協会に残ることを考えていたからこそ日本国籍を取得したのだと思いますが、年寄株の取得の目途が立たず、角界を去ることになりました。

彼以外にも、この所、豊ノ島、千代大龍、松鳳山といった三役経験者が年寄株を取得できずに角界を離れました。

このように、この所明らかに年寄株の入手が困難になってますが、その最大の理由は、2014年に設けた70歳までの延長雇用制度にあることは間違いありません。

それまでは、65歳で定年退職となり、普通は持っていた年寄株はその時点で手放します。

ところが、延長雇用となるとそのまま協会に残れます。

そうなると年寄株数には決まりがあるので、ポストが空かない状態が長く続くことになります。

現在、延長雇用制度を利用して協会に残っている年寄は8人います。

2014年以前であれば、この分現役引退した力士に年寄株が渡り、年寄の新陳代謝も進んだわけです。

今一番心配なのは、先日断髪式を終えた鶴竜です。

彼は横綱の特権で、引退後5年間は年寄株がなくても協会に残ることができ、現在「鶴竜親方」として陸奥部屋の部屋付き親方となっています。

その陸奥部屋の師匠である初代霧島は、来年4月で65歳となるので、2014年までだったら陸奥を鶴竜に譲渡して鶴竜が部屋を継いだでしょう。

ところが、陸奥が延長雇用を希望すればそれも叶わず、そうこうしているうちに5年間の特権期間も過ぎて鶴竜も角界を去る、という事態も考えられます。

延長雇用に入れば、民間企業同様それまでより給料は下がりますが、それでも900万~1000万円の年収はあるのでおいしい商売です。

なので、前間垣親方は立派な決断をしたと言えます。

年寄の数は決まっていて、その内の一定数は延長雇用で65歳の定年前よりも給料を下げているので、年寄の人件費全体としては下がっているはずです。

まさか延長雇用制度はそれを狙ったものではないでしょうが、制度導入を決めたのは年寄連中なので、自分に甘い、自分達のことしか考えてないと言われても仕方ありません。

退職して年寄株を譲渡すれば、その時点で億単位の金が入るのに、更に5年生きながらえて毎年1000万円もらうような制度に一番苦しんでいるのは、この制度を作った連中の、現役引退後路頭に迷う弟子達です。

どうか、前間垣親方のような潔い人物が出てくることを望んで止みません。