さっき、インターホンが鳴った
人妻、液晶に写った来客者が誰だかわからなかったので、不安になった・・・
「市川さん、俺っす!生協でお世話になっていた配達員だった桜井です!!」
去年まで配達員だった、桜井くん
よく奥さんとケンカしては、愚痴や相談を聴いていた
ドアを開けると・・・
口元にしわが出来、
首もしわがあり、
げっそりと頬もコケた桜井くんが、いた
元自衛官だった、マッチョな体型はもうそこには無かった
「どーうしたよ!?」
「市川さんに御礼言いたくて、来ました。
俺、離婚したっす。
娘の親権取られちゃったけれど、定期的に会えているので。
血つながっている父親は、俺なんで・・・」
気丈に振る舞っていても、いつも奥さんの事で悩んでいて
毛深い家の玄関に座り込み、話していた頃を思い出すと
込み上げてくるものがあり涙を、必死で止めた
「桜井くん、苦しかっただろ・・・」
人妻、目に力が入った
泣いて笑いながら、彼はこう言った
「俺、おやじの会社をつぐことにしたんすよ!
係長っすよ!!
俺とおやじしかいない会社だけど」
20キロ痩せた桜井くんは、新たな道を選んだ
笑顔で見送ってあげたい、人妻 心からそう思ったんだ
「ずっと応援しているからさ、困ったことがあったらまた来いよ!」
「はい!
どうしても御礼言いたかったんで、会えて良かったっす
あの時は、本当にお世話になりました」
深々と頭を下げ、ママチャリで帰っていった
「今度は名刺、忘れんなよーーーー!」
笑顔で手を振った、見えなくなるまで手を振ったよ