実は中学校の同窓会幹事を務めている。
今夜やっと、恩師を囲み宴会がある。
携帯の連絡先がわからない同級生たちには、
ご自宅へ一件一件電話をした。
一学年、142名!!<(_ _;)>
(一人でも多くの同級生をつなげたい!)
その一心で、一件一件地道に電話をした。
オレオレ詐欺に間違えられたり、
営業電話にも間違えられて、
同窓会の告知を告げる前に、
ガチャン!!と電話を切られたりもした。
何件もだ。
「そういう手口なんだろ?」と言って、本人につないでもらえなかったりもした。
だけど、
(どうしたら詐欺師に間違えられず、信用してもらえるのか)
これを考えたことで、一気に加速した!
電話を掛けた同級生との思い出や、覚えていることを伝える努力をした。
すると!
道がひらけた!
電話を本人につなげてもらえるようになった。
(やったあああーっ!!)
ゲームをクリアしたような、達成感。
そしてその先には、懐かしい声たちが待っていた。
だけど、最大の難関が目の前にあった。
14年前に、交通事故で障害をもってしまったAちゃんへの連絡だった。
一時は意識不明の重体になり、医師から
「脳がお豆腐状態だ」とまで言われてしまっていた。
Aちゃんとは、保育園からの友達だから
事故の知らせを聞き、すぐに病院へ駆け付けた。
今は車椅子生活で、お母さんの助けがないと生活が出来ない。
おばちゃんの疲労、
心労を思うと安易に同窓会の知らせなんて、出来なくなってしまった…
相手の心境を察しながら、よく考えて通話しようと決め連絡をした。
「あ、おばちゃんですか。潤子です。お久し振りです。実は同窓会…」
話の途中でおばちゃんが、言葉をかぶせてきた。
「Aは、一生行けません。では。」
わかる!その気持ちは、わかる。介護に疲れていた母を見てきたから、おばちゃんの気持ちは、わかる。
電話を切られそうになって、叫んだ。
「声が聞きたくて、かけたんです!ただ、Aちゃんと話したくてかけたんです!おばちゃんの辛さ、察します。
うちの祖父も寝たきりだったので、おばちゃんのご苦労わかります。
だから、せめて!
Aちゃんにお繋ぎ頂けませんか」
3秒の沈黙。
「わかったわ。潤子ちゃん、ちょっと待っていて」
その後、Aちゃんとふざけた話をした。
結婚したとか、
子どもたちがいるとか、
普通ならそういう近況を話すが、
一切話さなかった。
人妻:「10年前にさ、潤ちゃん電話ちょうだいって言ってたじゃん!だからかけたんさ~」
A:「忘れちまったよ(笑)」
事故前の彼女とは、
声も話し方も身体も全て変わってしまったけれども、
ひとつだけ変わっていないところがある。
それは、ボケた会話での突っ込みがうまいところだ。
瞬時にそこに気付き、ボケに徹した。
Aちゃんの笑顔が戻るなら、いくらでもボケようと。
笑う彼女の横に、まだおばちゃんがいたようで電話をかわってもらった。
「おばちゃん、明日遊びに行っていいですか。Aちゃんに会いたいです」
すると、少しだけ明るい声になって道案内をしてくれた。
同窓会の前に、
2人だけの、同窓会。
プリザのバラを買って、アレンジしてみた。
Aちゃんが喜んでくれたらいいな…。
夕方、行ってきます。
おばちゃんには、何を持っていこう。
幹事をさせてもらって今、心から良かったと思っている。
沢山の人とつながれて、心から良かったと思っている。
