実は、体が休まり疲れも取れる 自律神経も安定する「うつぶせ睡眠」はメリット

 

 

 ぐっすり眠るためには、実は寝ている時の体勢が重要

 

うつぶせに寝てみたら熟睡できたという人もたくさんいます。

 

「睡眠時間が短くても、体が休まって疲れが取れる」なんてことも。

 

 

 

 人間はもともと4足歩行の動物で、内臓は体の前側に配置されています。

 

あおむけに寝ると、重力の影響で内臓は体の後ろ側に引っ張られ、圧迫された状態になってしまう。

 

人間にとってうつぶせは“自然”な体勢なのだ。

 

 寝ている最中の呼吸を考えた場合も、うつぶせになるのは理にかなっているのです。

 

 

 

■代謝がアップする

 

 呼吸する際は肋骨が動いて肺が膨らむスペースがつくられる。

 

1~10番の肋骨が関係していて、上から3番目までは体の前面側に動くとき、胸式呼吸をしている時は、その動きで肺が膨らむスペースができる構造なのです。

 

4番目から10番目までの肋骨は横や背中の方向に動く。腹式呼吸をする時はこちらの動きをスムーズにしてやることが重要なのです。

 

 

「人間は睡眠中に腹式呼吸をしていて、肺は横や背中側に大きく膨らみます。あおむけに寝ていると、横や背中側に開くはずの4番目から10番目の肋骨がブロックされて、動きが妨げられてしまいます。

 

逆にうつぶせ寝は、胸式呼吸の際に開く1番目から3番目までの肋骨の動きをブロックして、4番目から10番目の肋骨は開きやすくなります。

自然に腹式呼吸になるのです」

 

 

 腹式呼吸は1回の呼吸で空気を換気できる量が多い。肺が大きく膨らむ分、筋肉も大きく動くので、代謝がアップする効果もあるのです。

 

「うつぶせ寝はよだれや痰(たん)も排出されやすくなります。よだれや痰は、吸い込んで体内にたまった菌を体外に排出する役割があります。あおむけに寝ていると、よだれや痰は気管と食道の間を行ったり来たりしている状態になり、体内で増殖してしまうのです」

 

 うつぶせ寝はおおきなメリット。

 

 

 

■呼吸しやすい体勢を探す

 

 うつぶせ寝の基本姿勢は、まず顔を左右どちらかに向け、枕の端に乗せる。

顔を向けている側の腕と足を窮屈にならない程度に曲げ、反対側の腕と足は伸ばす。

 

 この寝姿勢をつくった時に、体と布団の間に隙間があると無理な体勢になる。胸の下や脇にクッションやタオルなどを入れ、自然に呼吸がしやすくなるように高さを調節する。

 

「寝ている最中に寝返りをうって、横向きやあおむけになっても問題ありません。

睡眠は眠り始めてから最初の15~30分が重要で、そこさえうつぶせで眠ることができれば、深い睡眠や疲労回復につながります。

また、最初は多少窮屈に感じても2週間は続けて様子を見てください。

 

寝姿勢を変えると、呼吸する際に使う筋肉の動きも変わります。その動きを学習するまで時間が必要なのです」

 

 

 ただし、自力で起き上がったり、顔を横に向ける動きができない人の場合はうつぶせ寝は厳禁。窒息する危険がある。

 

 また、それでもあおむけの方が自然に眠れるという人は、無理にうつぶせに寝る必要はない。睡眠に不満がある人は、まずはうつぶせ寝を試してみてはどうだろうか。