部活を引退してからは、周りは受験勉強一色になった。
勉強があまり好きではなかった私は、何の目標も、希望もなく、ただなんとなく毎日を過ごしていた。
中学3年の秋頃だった。
男子と会話をしなくなった私は、女の子とは普通に話をしてたけど、やはり少し異様だったのかもしれない。
クラスの席が近い男子から、不気味だと、陰口をたたかれるようになった。
授業中や休み時間が終わる直前、席に戻って座っていると、ヒソヒソと聞こえてくる。
それが日に日に少しずつエスカレートしていって、
クラスの1部から、次第にクラス全員の男子に広がっていった。
授業中に男子だけで回覧をまわしていて、それは私の似顔絵を書いた紙だった。
ヒソヒソと聞こえてくる笑い声。
本当にブス!
気持ち悪い!
〇〇が書いた絵、そっくりすぎる!
私の見た目に対する悪口だった。
大人になった今でも尚、その言葉たちがたまに
頭をよぎるから、これ以上の言葉は、今はまだ
書きたくない。
直接言われる事はなかったし、危害を加えられるようなことはなかったから、
いじめ。
というと、人によってはオーバーに聞こえるのかもしれないけど、私にとっては、列記としたいじめだった。
似顔絵の回覧は、毎日ではないけど、それから数ヶ月続いた。
席に座っていて物を落として拾おうとすると、
机を大袈裟によけられたり、
ヒソヒソと笑い声が聞こえてきたり、
私はまるでバイ菌扱いだった。
そしてクラスから、学年全体に広がっていった。
廊下を歩いていたり、集会で並んでいると、
どこからともなく、笑い声や視線が飛んでくる。
周りの女子達は、さすがに気づいていた子は結構いたと思う。
でも、直接危害を与えられているわけでもないし、
プライドの高い私に気を使う子も、
巻き込まれて自分まで言われてしまう事がこわいっていう子がほとんどだったと思う。
それは男子も含めて。
ほとんどの人達は、見て見ぬ振りの、ただの傍観者だった。
私も決して、学校で泣いたり、誰かに相談するような事もしなかった。
恥ずかしかった。
悔しかった。
誰かに言ってしまった途端に、張っていた糸がぷつんと切れて、崩れてしまう気がして怖かった。
昔はみんながチヤホヤしてくれて、
可愛可愛いって言ってくれて、
キャプテンになって、
足の速さも学年1位で、
そんな自分自身、環境に自惚れていた。
私は愛されるべき人間で、
1番なんだと。
そんな自信満々だった自分が、今は1番底辺にいる。
あぁ、
私はブスで気持ち悪い顔をしていたんだ。
振られて当たり前だったんだ。
全てを勘違いしていたんだ。
私はチヤホヤされるカーストの1番上ではなく、
1番下だったんだ。
だんだんと、性格も暗くなっていった。
毎日、吐き気がするほど学校に行くのが辛くて、
馬鹿にされる事が耐えられなくて、毎日聞こえてくるヒソヒソ声、笑い声が怖かった。
でも、家族にだけは絶対に知られたくなかった。
元々気が強くてワガママだった私は、いじめられて可愛そうな子。傷ついているとか、そうゆうふうには絶対に思われたくなかった。
事実を知って、両親が悲しむ姿も絶対に見たくなかった。
だから、学校には毎日行った。朝家を出る時も、平気な顔で登校していた。
でもだんだんと、耐えられなくはなっていた。
朝はちゃんと登校して、母親がパートに出ている昼間に、こっそり早退する事は増えていった。
保健室に行く事も、増えていった。
保健室の先生もさすがに心配はしていた。
最近の〇〇ちゃんは表情が元気なくなって、
部活をしていた頃とは全然違うね。
最近よく保健室にも来るし、何か辛いことでもあるんじゃない?って。
でも私は決して話す事はなかった。
保健室の先生は優しくて、嫌いじゃなかったけど、
私は人をあまり信用出来なくなっていた。
誰かに頼って裏切られたり、人に頼る事で、自分が崩れてしまう事が怖かった。
完全に絶望していた。
でも、簡単に死ぬ事も出来ない。そんな事したら、家族だって悲しむ。
だったら病気になればいい。
病気になったら、学校に行かなくてもいい理由が出来るし、そのまま死ねたら楽なのにと思った。
真冬の寒い夜によく、上半身裸になって布団を被らずにいてみたり、
そんな馬鹿な事をしていた。
でも、その頃の私は身体だけはとても丈夫で、風邪ひとつ、ひけなかった。
辛すぎた毎日。
夜になると、布団の中でこっそり泣いていた。
本当の自分を唯一さらけだせる時間だった。
音楽をかけて、すすり声が聞こえないようにしていた。
たまに、自分だけの日記を書いていた。
何処にも吐き出せない、自分の心の叫びをノートに書きなぐって、泣いて。
そうすると、スッキリした。
そしてまた次の日を頑張る事が出来た。
そうやってなんとか、卒業を迎えることが出来た。
卒業式って。
普通はみんな寂しくて泣くものなんだろうけど。
私には嬉しくて仕方なかった。
ずっと縛られていた世界から解放されるように、
重かった肩が、すっと、軽くなった瞬間だった。
私は高校は迷わず女子校に進んだ。
男子が怖かったから、男がいない世界に、
行きたかった。
*当時心細かった時・死にたくなった時に励まされた歌・癒された歌*
・明日に架ける橋(サイモン&ガーファンクル)
・見上げてごらん夜の星を(坂本九)
*よく聞いていた歌*
・君をさがしてた(CHEMISTRY)
・PIECES OF A DREAM(CHEMISTRY)
・You Go Your Way(CHEMISTRY)