クライアントの成長を支援するためのセッション
台風の被害にあわれた皆さんに、お見舞い申し上げます。
まだまだ、新たに台風は発生しているようです。
引き続き、非常持ち出し品の確認など、防災への配慮を怠らないようにしましょう。
さて、今週は、仕事に慣れた中堅社員の自己啓発に頭を悩ませる管理者とのコーチングについて、考えましょう。
「コーチ、相変わらず元気ですね」
「おかげさまで。わたしは、皆さんからたくさんの気づきを頂けるでしょう?だから、テンションが下がるということがないように思います」
「なるほど、いいですね。わたしは、部下の行動に、悩みが増えるばかりです」
「たとえばどんなこと?」
「たとえば、仕事に慣れた7年目の社員がいるんですが、この頃は、まったく目標管理制度も無視して、達成への意欲もないし、『評価できないですよ・・』と言うのですが、『やめさせていただいても結構です。結局、ちゃんと評価してもらえないんですから、意味がないですよ。それに、止められて困るのは、課長じゃないですか?』と、開き直られる始末です」
「なるほど。目標管理制度そのものに、何か意見があるようですね」
「そうですね。言いたいことは理解してあげたい気もしますが、だからと言って、会社が決めた制度を否定して、何もしないということとは、次元が違うのですが・・・」
「うん・・・難しいですね。会社は、いちいち、すべての社員に事情を話しませんし、理由を聞きませんからね。決定されたことを、通達として情報開示するわけですからね。したがってもらえなければ、退社するしかなくなっちゃうと思うんですけれどもね。人手がないことが弱みだと、思っているんですね」
「そうですね。わが社は、ここ10年、新入社員を迎えていませんし、顔ぶれさえも変わらないので、どうも、社員のモチベーションが下がりきっているんです」
「ん?一ついいですか?モチベーションって、誰が上げるものだと思いますか?」
「それは、自分自身でしょう。自分のために仕事をするんですから・・」
「なるほど、自分のために仕事をしますね。では、改めて伺いますが、上司である、あなたの役割は何ですか?」
「え?私の役割は・・・・私の役割は、管理をすることです。売上とか、顧客満足とか・・・社員の行動とか」
「では、社員の行動って、どんなことを具体的に管理するんですか?」
「いえぇ、どこのお客様のところに行ったかとか、売上は達成できるかどうかとか」
「なるほど、それが役割ですね」
「はい、そうじゃないんですか?」
「管理者が、部下の行動や数字だけを管理しているのでは、部下は、評価されるだけで、支援してもらっているという感覚を覚えがたいのではないですか?
だから、信頼関係が作れていないのではないですか?」
「信頼ですか?」
「そうですね。ないように思います」
「自己啓発をしてほしいという理由や、方法、どんな自己啓発をしたら、部下のためになり、組織のためになるか、シェアしていますか?」
「いえ、それは部下に任せているので・・」
「目標管理制度に意見があるとか、上司であるあなたに意見があるとか、さまざまな障害があるようですが、根っこにあるのは、信頼関係の希薄さにあると、わたしは感じます。改めて、上司の果たす役割や、あなた自身の使命がなんであるか、考えてみていただきたいと思いますが、いかがですか?」
今号は、傾聴しながらも、積極的な指摘をしたり、アドバイスをしたりしたセッションをご紹介しました。
コーチは、ただ黙って話を聞くという、お話聞き係ではありません。
クライアントの目指す目標に向かって、共に進むために、どうしても伝えたいことがあるのであれば、
おそれず、メッセージをすることを避けてはいけません。
ただし、この場合も、ラ・ポールがかかっているかどうか、十分に確認してから行ってください。