骨などは白く、内臓などは黒っぽく映るよう設定されているのにもかかわらず・・・です。
こういう時は、血管の壁が骨みたいに固くなっているんです。これを石灰化しているといいます。
高血圧や腎臓病をお持ちの方などには高率にみられます。
先日アメリカのUniversity of Wisconsin school of medicine and public HealthのStacy D. ÓConnor先生たちが、この大動脈石灰化について興味深い論文をお出しになったのでご紹介します
『腹部大動脈石灰化が将来の心血管イベントの強力な予測因子となる』
です。
腹部大動脈の壁が石灰化していると、今後狭心症や心筋梗塞などの病気を発症する確率が高いと予測しやすくなる ということです。
ÓConnor先生たちは、2004年の1年間に腹部CT検査を受けた心血管に関わる病気がない成人829人(男性378人、平均年齢57.9歳)を対象にその後の心血管病の発症について調べてみたところ・・・(平均11年)
CT施行後、156人(19%)に心血管病が発症していて、CTから最初の発症まで平均7年だったそうです。
内訳は、心臓発作39人(5%)、脳卒中26人(3%)、うっ血性心不全63人(8%)、死亡79人(10%)で、42人が2つ以上の病気を発症していました。
なんと
腹部大動脈などの大血管の石灰化は、腎疾患をお持ちの方は今後心臓病などの発症が増えるイメージなので認めたら他の検査を追加していましたが、本当にこういう結果がでると…
かなりびっくりしつつ、まあそうだよね、と納得もしました。
この先生方の報告では、10年間の冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症を予測する指標として、現在フラミンガムリスクスコアというものがありますが、これとは独立してCTによる大動脈石灰化領域が大きいほど、より病気発症の指標となりうる(有意差あり)とされています。
私は以前女子医大の小川先生と一緒に大動脈弓の石灰化がどんな意味を持つかを調べたことがありますが、やはりその際も大動脈弓の石灰化が多いほど、心血管病で入院したり死亡したりする人が多いという結果でした。
なので、血管の石灰化を指摘されたとき、医師が追加検査について話をする場面もあると思うので、その際はこういう背景もあるから勧めたんだな~と思いだしてみてくださいね
Medical Tribune 2018.11.15よりご紹介しました
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