『痛みどめ』と『腎障害』 | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

今日はドラッグストアで簡単に手に入るけど、実は腎臓に悪い薬についてお話しします。

今日は『痛みどめ』について



どうして腎臓の機能が弱っていると薬による障害(腎障害)が起こりやすくなるんでしょうか?





1腎臓は体の余分なものを濃縮し、尿として体外に捨てます。
尿に捨てられる薬なら、腎臓を通る時に濃くなるので、薬の作用が出やすくなったり、副作用が起こりやすくなるんですよDASH!

2また、弱っている腎臓は、尿を上手に作れないので、『尿の素』である血液を沢山流して何とか尿を作っていることが多いです。
痛みどめの一大勢力である『NSAIDS』という種類では、腎臓に行く血流を減らしてしまうので、腎臓に血液が足らなくなり、腎機能が低下してしまうんですアセアセ

3薬のアレルギーで腎臓が急激に悪くなることもあります。



それとは別に
NSAIDSでは、胃など消化管を傷害しやすいため、出血などを起こしやすく、命を落とすような重篤な状態となる場合もあります。

特に
高齢の方
高血圧・糖尿病・肝硬変・うっ血性心不全・ネフローゼ症候群の方や
ある種の血圧を下げる薬(ARB・ACEI)を服用中の方
脱水状態の方
などでは、NSAIDSを服用することで、腎障害を引き起こしやすくなります。


そのため、慢性腎臓病ガイドラインでは
慢性腎臓病患者さんでは、NSAIDSはなるべく使用しないよう推奨しています






では、慢性腎臓病患者さんの痛みどめは何がいいのでしょう!?



『アセトアミノフェン』という痛みどめが推奨されています。
これは腎臓に対して副作用が少ないだけでなく、消化管の出血などを起こす確率も少ないとされていますドキドキ





痛みがあるまま生活できませんから、上手に薬とつきあう必要がありますよね。


腰が痛い、膝が痛い、頭が痛いなどあると、気軽に痛みどめを買い、服用してしまうかもしれませんが、『副作用がない薬はない』と思って、慎重に使ってくださいねニコニコ