アルコールは腎臓にいい!? | 腎臓内科医のつぶやき

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気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

今日は
アルコールの摂取が腎臓にどのような影響を及ぼすかみてみましょう。
 
 
 
なんとなく
タバコやアルコールは良くないような気がしますかね
 
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ご存じのとおり、タバコは腎臓や血管に関連した臓器を障害するので
ぜひ禁煙していただきたいです。
 
以前もお話ししてありますが
後日こちらについても機会を作りますね。
 
 
 
 
          
 
 
 
 
ではアルコールはどうなんでしょうか!?
はたして本当に悪いんでしょうか
 
 
 
 
お酒の飲み過ぎは
肝臓病や、癌、自殺や事故などを引き起こす可能性があることは
ご存じかと思います。
 
 
 
一方
少量・適度な量の飲酒は
脳血管・心疾患で命を落とす人数を減らす
 
とも報告されています。
 
 
 
 
血管に関係する臓器といえば、腎臓もそうですね!!
アルコールは腎臓にどんな影響を及ぼすのでしょうか
 
 
 

 
ビール     ビール     ビール     ビール      ビール
 
 
 

 
 
オーストラリアの一般住民を対象として研究では
 
エタノールを1日30g以上摂取した人たちは
エタノールを1日10g未満摂取した人たちと比べて
尿蛋白が増えやすいことがわかりました。
 
 
 
とくに65歳以下の人たちに注目してみると
エタノールを1日30g以上摂取した人たちの尿蛋白が増える危険性はぐんと高まっていました。
 
 
 
 
 
 
12万人の日本人一般住民を対象とした報告では
お酒を飲まない人たちと
エタノールを1日20g以上摂取する人たちでは
尿蛋白が出現する危険性にかわりはありませんでしたが、
 
 
エタノール20g未満の人たちでは
尿蛋白が出現する危険性はぐんと下がりました
 
 
 
 
 
 
すなわち・・・・・・
『少量のアルコール摂取は尿蛋白を出現しにくくしてくれるが
飲みすぎると尿蛋白は増えてしまう可能性がある』
 
 
 
ということです
 
 
まさに
過ぎたるは及ばざるがごとし
 
 



 
 
 
 
腎機能の指標として使われるeGFRとアルコールの関係はどうでしょうか
 
 


 
日本人一般住民9000人を対象とした研究で
アルコールを飲まない人たちと比較して
1週間あたりのアルコール摂取日が多い人ほどeGFRが高値(腎機能がいい)であった
という報告があります。
 
 
 
65歳以上の男性で中等度のアルコール摂取する人たちは
飲まない人たちと比べて
eGFRの低下に差がなかったとも報告されています。
 
 
 


また
1日4杯以上の沢山アルコールを摂取する人たちでは
慢性腎臓病(CKD)の発症が多かったと報告されている一方
 
 
飲酒量が多い人たちでeGFRの低下や新規のCKD・末期腎不全の発症が少なかったとも報告されており
 
少量から中等量のアルコール摂取はeGFRに対して腎保護的に働く
可能性があるとされています。
 
 
 
アルコール摂取がCKDの悪化に影響を与えるという報告は
ほとんどありません。
 
 
 
これらの報告を考える際の注意点としては
アルコール摂取量は質問による回答を主としているので
正確でない可能性も高いこと
各国の1杯に含まれるアルコール量も違う
ということです。
正しい評価は難しいと思われます
 
 
 
でも
過ぎたるは及ばざるがごとし。。。。。。
 
適量を飲んで心を体を癒してください
 
 
飲酒量の目安をご紹介します。
 
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男性は1日エタノールで20~30ml
女性は1日エタノールで10~20ml
程度が目安です。
 
実際には何をどれくらい飲むとどうなのか
といいますと・・・
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です。
 
週2回は休肝日をもうけ、飲み過ぎには注意してくださいね