慢性腎臓病患者さんの腎臓保護目的に
タンパク質を制限した食事療法が広く行われています。
みなさんは
実際どの程度効果があるのか、逆に腎臓を傷めたり体を壊す原因とならないのか
考えてみたことはありますか？
そもそも
なぜタンパク質制限なんでしょう？
タンパク質を食べると私達の血肉になり、健康な体を作ってくれます。
ただ余ったものや、代謝されたものは、尿毒素や・酸・リンに変わります。
これらは、腎臓の糸球体内の圧を高めたりして腎臓に負担をかけてしまいます。
毒素が増えることで、透析療法の開始を早めてしまうことにもなってしまうんです。
だから、タンパク質制限は必要とされています。
健康な成人では
その９７．５％の人がタンパク質不足とならないと考えられるタンパク質量を推奨されています。
つまり
『現在の体重１ｋｇあたり、０．８３ｇ』
日本人の食事摂取基準2010年によると
通常口にしているタンパク質が９０％消化吸収できたと仮定すると
1日の平均必要量は０．７２ｇ/体重１ｋｇあたり
推奨量は０．９０ｇ/体重１ｋｇあたり
となっています。
ある程度進行した慢性腎臓病では
尿毒素を含めた体内の毒素を減らしたり、腎臓の保護効果を期待して
その方に合わせたタンパク質制限を指導することが多いです。
もちろん、持病や、体重・血液検査などで栄養状態を確認しつつですよ！
蓄尿検査を行い、実際はどれくらい食べているか
その量は体に合っているのかなどを調べて
指導内容を変えたり調節を続けるのが通常です。
こちらの期待通りタンパク質制限が腎機能低下速度を緩めてくれればいいんですが・・・・・・
実際はその効果は認められていません
だた
毒素の上昇や、酸血症状態、ミネラル代謝異常などを抑えられるので
透析療法を開始するまでの期間を延長することはできるとする大規模試験結果はいくつかあり、こちらの効果は期待できます
『タンパク質を減らせば減らすほどいいんだろう？』
という方もいます。
そうなんでしょうか？？？
2009年に報告されたMDRD研究StudyBをみてみましょう。
この研究は
GFR13～24のCKD患者さん255例を対象に
アミノ酸などのサプリメントを併用したタンパク制限食（０．２８ｇ/標準体重１ｋｇ）の人たちと
通常のタンパク質制限（０．５８ｇ/標準体重）の人たちにわけ
約２．２年観察したものです。
結果は
試験終了時に、厳格なタンパク質制限した人たちの尿中にでている
クレアチニン量が少なかっただけで
他には大差はありませんでした。
ところが
7年後もう一度みてみると・・・・・・
どちらも腎不全になる結果に変わりはなかったんですが
2.2年の間厳格なタンパク質制限を行った人たちで
死亡する危険性が高くなっていたんです！！
エネルギーであるカロリーが足りていなかったのが一因と考えられますが
どちらにせよ
過ぎたるは及ばざるがごとし・・・
タンパク制限のやり過ぎはいけません。
他の報告と合わせて考えると
標準的なタンパク質制限量は
標準体重１ｋｇあたり、０．６～０．８ｋｇ
が推奨されています。
検査を行い、体にあった量を指導するので
次の外来で指導量がかわることもあります。
ネフローゼの方や栄養障害のある方、高齢の方は
その都度担当医と慎重に制限量を相談する必要があります。
私は食事指導がとても大切と考えているので
外来の度、データ・食事内容・体重などをみて指導しています。
なるべく栄養指導も頻回に受けていただいています。
食事療法、本当に大変ですよね。
無理せず、少しずつでも続けていってください。
だんだんできるようになりますよ
お金はかかりますが
たまには低たんぱく食を利用してみてはいかがでしょう
今朝の病院から見た朝焼けです。
今日も一日始まるな～がんばろ～っと感じさせてくれるきれいな空でした
透析室からみえる景色です。
今日は木枯らし1号
と思うくらい風が強いので
と思うくらい風が強いので山々の凹凸までくっきり見えます
風が強いので窓から見える木もこの通り・・・・・・
葉っぱはきれーに落ちてしまいました
朝からお掃除のおじさんが大忙しです
いつもお世話になってる栄養課です。
んん？
あの緑の紙はなんだ？？？
12月の腎臓病教室のパンフレットでした
みなさんの参加をお待ちしていま～す