腎臓が悪いと骨がもろくなるって本当? | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

久しぶりに気持ちのいい天気になりましたね晴れ
真夏日になるところも多いようです。
 
久しぶりの暑さに体は対応しきないかもしれないので
熱中症には注意してくださいね!!
 
 
 
 
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腎臓が悪くなると色々な合併症が起こります。
今までも様々な合併症に触れてきました。
 
 
今回は
その中でも『骨』との関係についてお話します。
 
 
 
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腎臓は
体の血液をろ過し尿を産生することで
体を一定の状態に保つ働きがあります。
 
 
 
他にも
血液(赤血球)のもとをつくる働きを促進するホルモンを分泌したりなど、
私たちが元気に生活するために必要な調節を色々担ってくれている
大切な臓器です。
 
 
 
骨との関係も、
腎臓が関与する『ビタミンD』というホルモンが重要になります。
 
 
 
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腎臓は
 
『ビタミンD』を活性化し、体の中でその働きを発揮できるようにしています。
 
活性化された『ビタミンD』は、
カルシウムが腸に吸収される際の手助けをしてくれます。
 
 
そのカルシウムがゆくゆくは私たちの骨になっていくわけですが・・・・・・。
 
 
 
腎臓が悪くなる『腎不全』の状態になると
『ビタミンD』が活性化できないため、カルシウムが吸収されにくくなり、
低カルシウム血症(血液にカルシウムが足りない状態)となります。
 
 
 
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また
腎不全では尿も十分でなくなるので
本来は尿とともに排出されるはずだった『リン』が体に溜まってしまい、
高リン血症(血液にリンが多すぎる状態)となります。
 
 
 
血液中のカルシウムとリンの濃度は一定に保たれているため
一方が増えるともう片方が減るという関係になっています。
 
 
 
腎不全のように
血液中のカルシウムが不足してリンが増えすぎると
両者のバランスを保つために新たなホルモンが追加で分泌されます。
 
 
それが
『副甲状腺ホルモン』です。
 
 
 
分泌された副甲状腺ホルモンは
骨からカルシウムを取り出し血液中のカルシウムを増やそうとします。
 
 
結果、
骨密度が低下(骨がすかすかになる)し、骨の異常を引き起こすというわけです。
 
 
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ややこしいですね。
私たちの体はとても精巧につくられており、どこかが崩れると色々な個所に影響が出てくるんです。
 
 
 
 
 
慢性腎臓病の治療では
一般的に
ステージ3aから血液中のカルシウム・リン・副甲状腺ホルモンを
定期的に測定します。
 
 
異常が出てくれば
食事療法を変更したり、薬を調節することで
体への影響を最小限にする治療を行います。
 
 
 
 
カルシウムが低い時は、カルシウムやビタミンD剤で補います。
リンが高い時は、リン吸着剤でリンを減らします。
そのほか、副甲状腺の状態を超音波検査(エコー)で調べたりもします。
 
 
 
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というわけで
今回は
『腎臓が悪くなると骨ももろくなるというのは本当です』
というお話でした。
 
 
1年に1回は、骨密度検査を受けてくださいね~!