糖尿病性腎症の発症を予測できる? | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

糖尿病の方では
細い血管の病気である
目(網膜症)・腎臓(糖尿病性腎症)・神経(末梢神経障害)に
障害を受けやすいといわれています。
 
 
 
 
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教科書では
『網膜症と腎機能障害は同時期に起きてくる』
と書いてありますが
 
 
 
実際には
網膜症はあっても尿所見は正常だったり、
網膜症がないのに大量のタンパク尿がでている患者さんを
多く経験します。
 
 
 
 
実際
どのような患者さんが腎機能低下に陥りやすいか
というのはわかっていません。
 
 
 
 
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そんなわけで
今回は
 
北里大学健康管理センター長・北里大学教授の守屋達美先生が
Diabetes Careに発表した論文からお話しします。
 
 
 
 
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全国の糖尿病専門施設59か所に通院する2型糖尿病患者さん2000例以上を1996年から追跡しているJDCSのデータを使って、研究しています。
 
 
 
微量アルブミン尿が高値(150~300mg/gcr)が認められた患者さんを除いて
網膜症の評価を正確にされた1475人を対象にしています。
 
 
 
 
 
網膜症の有無、微量アルブミン尿の有無で4群に分け、8年間の腎機能を追いました。
 
 
 
 
 
 
結果は・・・
 
ややこしいので腎機能低下についてのみお話しすると
 
微量アルブミン尿も網膜症もある患者さんの腎機能は
年間低下率が-1.92と大きいことがわかりました
 
 
 
 
この方達の低下率は
他の患者さん(①網膜症も微量アルブミン尿もなし、②網膜症なし・微量アルブミン尿あり、③網膜症あり・微量アルブミン尿なし)達の低下率と比べで
2~3倍の有意差がありました。
 
 
 
 
ということで、まとめますと・・・
 
微量アルブミン尿と網膜症の両方が存在する患者さんでは、
そうでない患者さんより数倍早く腎機能が低下することが予想できた
 
ということになります。
 
 
 
 
通常のタンパク尿を調べる検査ではなかなかわからない微量アルブミン尿。
とても大切な検査です。
 
 
糖尿病をお持ちの方は
定期的に眼科受診をして、微量アルブミンン尿があるかどうかの検査を受けてくださいね!
 
 
 
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