みなさんは
閉塞性動脈硬化症(ASO)
ってご存知ですか?
足に血管が狭くなったり詰まったりすることで
色々な障害が起こる病気のことです。
この頃は
下肢末梢動脈疾患(PAD)
と呼ばれることが増えてきました。
この病気は
はじめのころは
足が冷たく感じたり、しびれが出現するくらいですが、
進行すると
ある一定距離歩くと
ふくらはぎや太ももが重く感じたり、痛みを覚えたりするようになります。
一休みすると、また歩けるようになります。
さらにひどくなると
休んでいても痛みを感じたり
靴擦れなどが原因で足に潰瘍ができ
それがもとで足壊疽(足がくさる)となり
切断が必要になってしまう恐ろしい病気です。
重症度はFontaine分類で判断します。
このお話しの最後にこの分類を載せておきますので
ぜひ
みなさんも自分が当てはまるところがないか
確認してくださいね!
先日行われた
第11回日本フットケア学会/第5回日本下肢救済・足病学会合同学術集会で発表された中から
気になるお話しをご紹介します。
糖尿病と腎不全があると
PADを発症しやすくなることが知られています。
今回湘南鎌倉総合病院の石岡邦啓先生が
『糖尿病を持っている透析患者さんでは、
糖尿病がない透析患者さんと比べて、
PADの頻度や、足白癬(水虫)認める割合が有意に高率だった』
と発表されました。
糖尿病にかかっている人や透析を受けている人は
PADからさらに重症化した重症虚血肢(CLI)へと進んでしまう
危険が高い
ことはよく知られています。
結果
下肢を切断することになってしまう危険率は
糖尿病の患者さんでは1.6倍
透析患者さんでは83倍
糖尿病をもっている透析患者さんでは481倍
透析患者さんのPADは進行が速いうえ
短命となる(生命予後が悪い)!
とされています。
今回発表された石岡先生のデータによると
Fontaine3~4度のPADを有する透析患者さんの2年生存率は44%にとどまっています。
(つまり、このPADの人は、100人のうち
2年後生きている人数が44人ということです。)
かなり怖いデータですね……。
足の大切さがわかります。
でも
2度であれば93%と高く
そのあとも急激に悪化することはないのです。
早期発見・治療がとっても重要なんです!
Fontaine分類について
FontaineⅠ度:無症状・冷感・しびれ感(軽度虚血)
しびれと冷感が症状としてあらわれます。
それほどの血行不全はないため、無症状やすぐに症状が消失したりする場合も多くなります。
しびれや冷感は動脈硬化による足の血液の流れの悪化によるもので
急激な運動や連続歩行の後に症状として現れます。
また
脱毛といった見た目の変化がみられることもあります。
FontaineⅡ度:間歇的は行期(中等度虚血)
歩くときに特定の筋肉が固くなったり痛んだりして
歩きにくくなるという症状が現れます。
血液が十分足へ供給されないことによって起こります。
少し休憩すると血液が再び循環し、また歩けるようになります。
FontaineⅢ度:高度虚血
さらに悪化した状態です。
何もしなくても痛みがあります。
FontaineⅣ度:潰瘍・壊死期(重度虚血)
血行の悪い部分から皮膚の壊死や潰瘍が起こり
治りが遅くどんどん広がっていきます。
最悪の場合は足の切断を余儀なくされることもあるため
一刻も早く適切な治療を受けないといけません。
糖尿病お持ちの方や、透析治療を受けている方は特に
毎日自分の足を良く観察してくださいね。
水虫、ウオノメ、小さな傷でもほっておかず、
きちんと診察を受けて下さい
日高病院には
足のスペシャリストである『フットケア外来』や
血管の専門家の血管外科、
足の傷や壊疽を加療する形成外科
があります。
心配な方は
ぜひ受診してくださいね!!
今回は少し怖いお話しになってしまいました。
PADを早期発見するには
皮膚潅流圧SPPで調べるのがお勧めですよ。