『貧血っていわれたので、レバー食べています』は大丈夫? | 腎臓内科医のつぶやき

腎臓内科医のつぶやき

気軽に腎臓病について知っていただく機会を作りたいと思って、2010年から月1回の腎臓病教室を始めました。教室でお話した内容や、腎臓関係のマメ知識をお話できたらいいなと思っています。2018年12月にyahooブログから引っ越ししました。

他院から紹介されて
私の外来を受診する患者さんの中には
このようにおっしゃる方がけっこういらしゃいます。
 
 
 
 
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悪いところがあるから、自分でも治そうと努力されているんですね
音譜
とても大切なことです。
 
 
 
ただ、惜しい!
 
 
 
 
腎臓が悪い方は
レバーなどの
タンパク質を摂り過ぎてはいけないんです
 
 
 
 
 
 
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そもそも
腎臓と貧血にはどんな関係
があるかご存じですか?
 
 
 
まず、貧血とは何か、確認してみましょう。
 
 
 
 
 
 
『貧血』とは
血液の中の成分である『赤血球』が減ったり
赤血球の中身の『ヘモグロビン』という赤い色素が減る状態
を指します。
 
 
 
 
赤血球は酸素を体中に運ぶ働きがありますので
貧血になることで体が酸欠
になってしまいます。
 
 
 
 
 
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酸素を体に送り届けるのは『心臓』の役割です。
 
 
 
 
貧血状態では
なるべく酸欠にならないよう心臓が通常以上にがんばるので
疲れてしまい
心不全などの心臓病に引き起こしやすくなるんです。
 
 
 
 
心臓が疲れて十分酸素を運搬できなくなると
腎臓も酸欠になります。
 
 
 
 
腎臓は酸欠に弱い臓器なので
 
すぐ腎機能障害が起こります。
 
 
 
 
 
『貧血は心臓を悪くし、
腎臓も悪くする』
 
困り者なんですよ。
 
 
 
 
 
 
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でも腎臓は
貧血の被害を受けるけではなく
 
加害者にもなるんです。
 
 
 
 



 
 
腎臓は
血を作るホルモンである『エリスロポエチン』を分泌しています。
 
 
腎臓の機能が落ちると
このホルモンを作れなくなるので
貧血になってしまうんです。
 
 

 
腎臓が原因でなるこの貧血を
『腎性貧血』
といいます。
 
 
 
 
 
 
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腎臓病では、貧血がつきものです。
 
『腎性貧血』以外にも、原因は隠れています。
 
 
 
 
 
一つは
『鉄欠乏性貧血』。
 
 
 
 
赤血球のもとになる鉄分が足りないため
貧血になっている病気です。
 
 
 
 
腎臓病では
腎臓に負担をかけないように食事療法(タンパク制限)をしていますね。
 
 
蛋白制限のため、鉄分の摂取量が減り鉄欠乏性貧血を起こします。
 
 
 
 
 
 
 
また
腎臓病がより重症になり
体に本来腎臓から排泄されるはずの毒素がたまると
胃や腸から出血(消化管出血)しやすくなります。
 
 
 
この消化管出血により
鉄欠乏性貧血が起こります。
 







 
また食事療法がうまくいかないと
『葉酸』や『ビタミンB12』なども足りなくなります。
 
 
これらの欠乏も貧血になります。
 
 
 
また
血液の病気なども隠れていることもあるので
 
貧血があるときは
原因が何なのか
 
必ず確認する必要があります。
 
 
 
 
 
 
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治療は足りないものを補うことです
 
 
腎性貧血なら、ホルモンを補充する注射をします。
 
鉄分などが足りない時は、薬を服用したり、注射をしたりします。
 
 
 
 
 
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貧血は、腎臓に負担をかけ、より早く腎機能を低下させます。
 
ヘモグロビン(Hb)値は、10~12g/dlを目標に
 
治療します。
 
 
 
 
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みなさんは大丈夫ですか?
 
検査データをみてみてくださいね。