みなさん、ご無沙汰しております。
家族からひどい風邪をもらい、日々の診療と腎臓病教室が精一杯でしたので、更新が遅れてしまいました。。。
すみません。
私ごとですが、出産後5kg増えたままだった体重が、
今回の風邪で一気に戻りました。
高熱の持続と食事摂取不能だったためかと思います。
いつも、
『しっかりカロリーを摂らないと、筋肉を壊してカロリーを引き出そうとするので、カロリーは上手に摂取してください』
とお話ししていますが、
やっぱりその通りでした。
体重は減りましたが筋肉も減ったようでふらふらしています。
食事療法は、本当に大切ですね!!
みなさんは、お元気にお過ごしでしょうか?
今日は
『骨折の危険性と生活習慣病の関係について』
お話しします。
生活習慣病により骨折しやすさが増える
といえば
主な病気は
①糖尿病
②慢性閉塞性肺疾患:COPD
③慢性腎臓病:CKD
です。
それぞれについてお話ししていきますね。
でもその前に
骨の仕組みを見てみましょう。
骨はミネラルとコラーゲンでできています。
鉄筋コンクリートに例えると、
ミネラルがコンクリート、コラーゲンが鉄筋
にあたります。
イメージとしては
『コラーゲンが鉄筋のように張り巡らされ、
その周りをミネラルがコンクリートのように固めている』
感じです。
鉄筋にあたるコラーゲン分子同士は、
『架橋』によりつなぎとめられています。
この架橋は、あとででてきますよ。
秩序正しく分子をつなぎとめる『善玉架橋』は、
骨に柔軟性を生み出し、
外からの刺激をある程度受け止めることに貢献します。
ところが、
無秩序・不正に分子をつなぎとめる『悪玉架橋』は、
骨をチョークのようにもろくして、
外からの衝撃を受ける力を弱くし
骨折につながることがあります。
骨の強度の30%は骨質によると言われており、
骨密度が低いことに加えて、
悪玉架橋が多く骨質が低下している方は、
正常な方に比べて7.2倍も骨折しやすいと言われています。
では、各生活習慣病による骨の変化をみてみましょう。
糖尿病では
血糖が高いことで、終末糖化産物(AGEs)が産生されます。
このAGEsにより
骨芽細胞機能(新たな骨を作り出す機能)が抑制
されてしまい、
鉄骨をつなぐコラーゲン架橋を劣化させてしまいます。
このため、
骨の材料や構造の劣化が起こり骨折しやすくなるといわれています。
つまり骨密度が低下していなくても骨折しやすいってことです。
では肺の病気:慢性閉塞性肺疾患:COPDではどうでしょうか?
COPDがあると骨粗しょう症を合併しやすいのですが、
特徴的なのは
男性でも効率に合併し、
腰よりも背中の上のほうの骨:胸椎骨折が多いということです。
COPDの病期(重症度)でみると
正常の人と比べて
軽症では:男性3.9倍、女性10.3倍発症しやすい。
中等症では:男性6.8倍、女性20.9倍発症しやすい。
重症では:男性11倍、女性33倍発症しやすい。
かなり骨粗しょう症発症の危険性が上昇していますね。
COPDの人では、
①低体重
②低酸素血症
③慢性炎症
④喫煙
⑤ステロイド薬使用
⑥ビタミンD欠乏・不足
があると骨粗しょう症になりやすい
といわれていますので、
注意してくださいね。
そして、慢性腎臓病:CKDとの関係はどうでしょうか。
①
慢性腎臓病の人は、
早期でも骨折の危険性は高くなります。
②
糖尿病を合併することで、
骨質が劣化する速度が速くなり、
骨折する危険性はさらに上昇します。
③
腎機能が低下すると発症してくる続発性副甲状腺機能亢進症による
腎性骨症が発症し、さらに骨折する危険性が増えます。
④
特に慢性腎臓病では、骨代謝異常(腎性骨症)が起こりやすく、
このため血管の石灰化をはじめとする血管障害と密接に関連しています。
(血管の壁が石灰化をおこし傷むため、脳梗塞・脳出血・心筋梗塞などの疾患を起こしやすくなるんでしたね。)
④
そして、慢性腎臓病に伴う酸化ストレス増大や栄養障害・筋力低下に伴う転倒しやすさ増大も、骨折する危険性上昇に寄与しています。
骨の力はカルシウムだけではありません。
また、慢性腎臓病があると
一般的な骨の薬が使えなかったり、容量を調節する必要があったりします。
慢性腎臓病の方は骨の検査を年1回は行い、
骨も元気に保ってくださいね!