立夏の到来、今は「心を養い、陽気を守る」時

春の気配が遠のき、夏の兆しが芽生え始める中、5月5日に夏の最初の節気「立夏」を迎えます。これ以降、暑さが増し、雨も多くなり、湿気と熱気が混ざり合う時期となります。春夏が入れ替わるこの時期、人々の養生スケジュールには「心を養い、陽気を守る(養心護陽)」ことが重要となってきます。
中医学(中国の伝統医学)の考えでは、夏季は「陽気」が外側で盛んになり、「陰気」は内側に潜みます。人間は天地と呼応しており、体内の陽気も体の表面へと向かい、気血の巡りが盛んになります。しかし、立夏の時期には特有の健康課題もあります。
中国中医科学院西苑医院・心血管第一科の主任医師である董国菊氏は、次のように解説します。中医学では、夏の気は「心(しん)」の気と通じていると考えられています。立夏を過ぎると、人体の陽気が外へ浮き上がり、「心火(しんか)」が旺盛になりやすくなります。これに天候の暑さや発汗の増加が加わることで、イライラや不眠、口や喉の渇きといった症状が現れやすくなります。また、脾胃(消化器系)の機能も相対的に弱まるため、冷たいものを好んで摂りすぎると「脾陽(ひよう)」を傷つけやすく、消化不良や下痢、腹痛を引き起こす原因となります。
「春は『舒(のびやかさ)』が尊ばれ、陽気がスムーズに生まれるのを助けますが、立夏は『静』が尊ばれ、外に浮き上がる陽気に順応しながら、焦燥感や怒りを戒めることが大切です」と董氏は述べています。日常生活においては、春は「夜に寝て朝早く起きる」だけで十分でしたが、立夏にはさらに「昼寝(午睡)」を加えて心気を養い、暑さによるダメージから心を守ることが必要です。同時に、気を補い陰を養うことも意識すべきですが、「夜に寝る」のは遅くとも23時を超えないようにし、昼寝は15分から30分程度にとどめるのが良いでしょう。
