…あれ?
いつの間にか俺は布団の中にいて
隣には母さんが寝てた
でも
まだ少しお酒の匂いがしたから
そーっとくっついて、また目を瞑る
母さんの手が俺をギュッて引き寄せて、背中がピッタリくっ付いた
へへ…温かい
ちゃんと魔法解けたら
ホットケーキ作ってくれるかな
ちょっぴりお腹が空いてきたけど
早く魔法が解けるように
我慢して目を瞑った
あれは…あの男が帰ってきたのは
いつだっけ
あぁ、そうか
母さんがホットケーキ作ってくれた日だ
いきなり家に戻ってきた男が、母さんを何処かに連れて行こうとした
「ガキなんか放っとけ」
嫌がる母さんに男が言った
そのうち母さんと男が喧嘩を始めて、ホットケーキが男の足の下でぐちゃぐちゃになった
母さんが叩かれて泣いてる
悲しくて悔しくて
めちゃくちゃ怖かったけど
俺は持ってたフォークを投げつけた
男の顔に当たったフォークが、床に落ちて音を立てる
フォークを拾おうとしたら、男が俺を蹴って、母さんが叫んで…
それからどうなったのかは
覚えてない
ただ
サイレンの音が煩くて目を開けたら
窓の外で赤い光がチカチカして
部屋のカーテンも、壁も赤くて
母さんの服も
手も
男が寝てる床も真っ赤になってた
剛を布団に下ろした
さっきは確かに狸寝入りだったはずだけど、今は大人しく布団に収まってる
フッ…なんだ
ホントに眠かったんだな
さ、帰るか
立ち上がろうとしたら、布団の中で「きゅるん」なんて可愛らしい腹の虫が鳴って、剛の眉間にシワが寄った
…ん?
「あ、お腹空いたよね?良かったら下で何か食べていきなよ」
施設の人が俺に気を使ってくれてる
いや…今の、俺じゃないんだけど
剛は笑いを堪えてるのか、眉間のシワはそのままに口元を固くしている
やっぱ起きてんじゃねーか
なんで寝たフリなんかしてんだ?
…何か俺に話でもあるのかな
「あの…少しついててやってもいいですか?もしかしたら、すぐ目が覚めるかもしれないし」
つか、起きてますけどね
「あぁ…じゃあ、何か食べる物持って来るね」
施設の人が立ち上がったのと同時に、また「きゅるん」て腹が鳴った
施設の人と目が合う
そろそろと剛を見ると、緩みそうになった口元がサッと毛布の中に隠された
バカ、バレるって。下手に動くなよ
施設の人が笑いを堪えてる
…バレてるよな、これ
「今持ってくるから、ちょっと待ってて」
でも剛を起こそうとはせずに、施設の人は部屋を出て行った
あれ?もしかして…バレてない?
…
「あの…すいません」
俺も部屋を出て、まだ階段の途中にいたその人を呼び止めた
「あの…俺、かなりお腹空いてて…」
「え?」
「えっと…2人分ぐらい?食べられるかなー、なんて…」
「フフ…分かった」
施設の人は笑って頷いてくれた
…って事は、やっぱバレてんだよな
剛が起きてるって
でも起こそうとはしなかったし、声もかけなかった
そういや、ここの職員なんだから毎日顔付き合わせてるはずなのに、剛と殆ど会話もしてなかったな
それに、剛が楽しそうにしてるの初めて見たって…
部屋に戻っても、まだ剛は眠ったフリを続けてた
「やっぱ、下まで貰いに行って来ようかな」
独り言を呟いて、また部屋を出る
剛の居ないところで聞きたかった
俺の知らない剛の事を
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サボり過ぎ〜
エイベさんが悪いのよ
こんなに出してきちゃうから
今日もV狼とか…
どうしたって見ちゃうっしょ!(*≧∀≦*)
でもって明日はセクバ二!
1日24時間じゃ足りなーい!