昼過ぎに迎えに行くと言っておいたけど、ちょっと早めに会社を出た
支度にはそんな時間かからない子だけど
多分2人で夜更かししてるだろうし
それでなくても剛は寝起きが悪いから
健くんの分と二人分、遅い朝食の材料を買って剛のマンションに向かった
駐車場に入ると、エントランス前の階段に誰かが座ってるのが見えた
写真誌じゃないだろうな…
別に張られて困るような事なんか無いけど
見つからないように近づいて様子を覗う
あれって…健くんのお兄さん?
確か義理のって言ってたけど、こんなとこで待ってるなんて、よっぽど健くんの事が心配なんだろうな
しかも何だか項垂れてる.…って事は
まだ拗れてるのか
ふぅ…しょうがないな
お兄さんに見つからないよう、逆側からエントランスに入って剛の部屋に向かった
食事の支度をする前に、健くんだけ起こして少し話を聞いてみるか
下で待ってるお兄さん、あのままじゃ可哀想だし、ひと晩置いて健くんもだいぶ気持ちが落ち着いたんじゃないかな
まだ寝ているだろうから、ベルは鳴らさずに玄関に入った
寝室のドアを開けて小声で呼んでみる
「健くん」
剛はこのぐらいじゃ起きないから、大丈夫だと思うけど…
「健くーん、おはよう」
…ピクリとも動かない。ここからじゃダメか
中に入って近づきながら声をかけた
「健くん、おっはよー」
ハハッ、なんか寝起きドッキリみたいだな
俺のテンション上がってきちゃったよ
ベッドに近づいていくと、放り投げたように二人分の服が床に散らばってる
まったくもう…
二人して服脱ぎ散らかしちゃって、子供かよ
やれやれ
「健くーん、おは…」
…っ近っ
布団の上に頭が2つ、仲良く並んでる
掛布団でほぼ顔が隠れてて、パッと見どっちがどっちか分かんないけど
…もはや頭がくっ付いてる
割と広いベッドなんだから、コンパクトな君達がそんなにコンパクトに収まらなくてもいいのに
…
まあ…寝相によっては、そうなる事もあるか
よし、取り敢えず健くんを起こそう
「健くん、お兄さんが下に来てる…」
多分健くんだろうと思われる方の布団を
少し捲って
戻した
…
二人が起きてないのを確かめる
もう一度、布団をそーっと捲った
肌がむき出しの健くんの背中と剛の肩
向き合って密着してる頭…というか、顔
健くんの首の下から出てる…
あれは…剛の腕?
そう言えば
ベッド脇に散らかってる服…
床に目を落とす
一式まるまる…ある
えーと……
うん
そうだ、朝飯を作ろう