May be〜ライバルは4歳児_16 | GIN@V6〜since20xx〜

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You've got the best choice!!

 
 
通りに出て少し歩く

車が横を通り過ぎてく度に
吹く風が冷たくて

2人まで届かないよう、少しだけ自分の歩くテンポを遅らせた



やっぱり上着持ってきて正解

まだ吐く息が白くなる程ではないけど、寝てるヤツにしたら寒いよな

 

背中から聞こえる寝息を確認してから
思い出したように彼が口を開いた
 

「あ、そうだ。昨日はありがとうございました」
 
ペコリと頭を下げて
 
 
ん?何のことだろう

「連絡帳すごく嬉しかったです。剛の様子、気になってたので」


そういや普段より5割増ぐらいのボリュームで書いたな。喜んでもらえて良かった
 
…別に、えこひいきじゃない
初登園だったし、書く事もあったし
 
 
「それと、持たせて頂いた剛のおやつ。とっても美味しかったです」
 
そうか。それも良かった。
 

「剛は何にも教えてくれなかったけど、昨日2人で内緒って話してたの、アレのことですよね?」


内緒にしといて、魔法みたいにケーキを出してやるっていう作戦は、どうやら成功したらしい

 
「剛が目を瞑れって言うから、何かと思ったらバナナケーキ口に入れてくれて」
 
嬉しそうにクスクス笑って
 
目を閉じさせて口に?…俺もやってみたいもんだ



あ、そういや結局、ちっとも家の話できなかったな…

「今日はお話出来なかったので、やっぱり後日改めてお時間作ってもらえますか?三宅さんの都合のいい時で構いませんから」







 

時間作って欲しいって言われて
また…ドキドキした
 
お仕事だもんね
彼は園長先生で、俺は保護者で
うん、分かってる
 
 

遠くで聞こえたと思ったサイレンが、だんだん近づいてきて
 
並んで歩く俺達の横を消防車が通り過ぎていった
 

あ、剛起きちゃったかな?
少しピクッと動いたけど…
 

背中を振り向こうとしたら
 
「しかし…意外と起きないもんだな」
 
園長先生が少し上着を捲って、剛が眠ってるのを確認してくれた
 

ふふっ…
「大丈夫みたい。もう寝息が聞こえる」
 
 
先生と目が合って、2人で笑って
 
なんだか嬉しくて

 

 


園長先生
本当、優しくって素敵な人だな
 
ドキドキは…しょうがないや
自分がしっかりしてれば大丈夫
 
 

 
通り過ぎて行った消防車の向かった先が、ちょうどウチのアパートの方向だったから
 
火事かな?あんまり近くじゃないといいんだけど、とは思っていた
 

 
ちょうどアパートの裏手側にある公園にさしかかる
 
 
 
沢山の野次馬と
 
さっき通り過ぎて行った消防車

 
火の手が上がって、放水されている…
え?ウチのアパート?

 

 
う、嘘だろ…