PとMK(Kのステージ)2 | GIN@V6〜since20xx〜

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You've got the best choice!!


 

咄嗟に人をかき分けて

悲鳴の上がった方に向かう

 

 


井ノ原さんと一緒になって

 

「はい、みんな下がって、下がって」

叫びながら


事故現場さながらに野次馬をどけ

バリケード代わりに両手広げて

健たちに背を向けて立った

 

 

健と、他にも何人か

押されて将棋倒しになったらしい

 

腕を押さえて顔を歪めた健が

床に倒れこんでた

 

他のヤツは比較的大丈夫そうで

みんなで健を心配そうに見てる

 

 

「三宅っ、大丈夫か?」

昌ジイも駆け寄ってきて

 

「取り敢えず、次のプログラム先に始めておいて」


係の生徒らしいのに指示出して、健を抱き上げた

 


「そこ、通路あけろっ」


井ノ原さんと俺で先導して、昌ジイと健を体育館から出して


保健室に向かう二人の後をついて行く

 

 

「健!」

って叫んで走ってきた健の母ちゃんと


他の生徒達も、心配そうに保健室の中入ってって


井ノ原さんが、お前も中入ればって

顎で指して俺を見たけど


いいよ。行ったところで、俺なんか何の役にも立たねぇ

 


「大したこと無いといいけどな」


「そうっすね」



アウェーな俺と井ノ原さんは

ドアの外に立ってた



まったく…怪我なんかしてんじゃねーよ、バーカ


なんてな……お前のせいじゃないけど

 

 


 

暫くしたら、保健室からみんなゾロゾロ出てきて、体育館に向かって歩いてった

 

「坂本くん、健ちゃんは?」

 井ノ原さんが昌ジイの腕捕まえて



「おう、お前ら。さっきは助かった。ありがとな。アイツ、肘の辺り打ったみたい。もしかしたら何処かヒビ入ってるかも」

 

 


 

「太鼓は、どうなんの?」

 

2人とも、怪我より太鼓の心配かよって顔してんな


自分でも可笑しいと思うけど

 

 


手のマメが潰れるくらい


疲れて少し痩せちゃうくらい


一週間も俺に逢わないで


 

頑張ったの知ってるから

 


それでもキラキラした顔で

楽しいっつってたの知ってるから

 

 


出来るんなら、演らせてやりたい

 

 

 

 

「今、保健の先生と相談してる。無理すんなって言ったんだけどな」

 

 

フッ…

昌ジイ、知ってるか?


今のアイツに『無理すんな』は、火に油なんだよ

 

 

開いてるドアから中覗いたら


保健の先生に向かって、何か必死に訴えてる健が見えて

 

先生が、薄い板みたいなのをテーピングで腕に巻き付け始めた

 


時々顔歪めながらそれ見てる健は

どっからどう見ても男子高校生で

 

なんだか

俺の可愛い健じゃないみたいだ

 

 

 

テーピング巻き終わって、少し手を振り上げて、痛いって顔して

 


でも、やる気なんだろ?

 

 


ふとこっちに顔向けた健と目が合う


足が勝手に保健室の中入ってって

 

立ち止まって

健の頭に手を乗せた




「見てるから」

 


それだけ言えば分かるよな


どーせ無理しちゃうんだろ?


ちゃんと見てるから、ちゃんと演れよ

 



短く切った髪をくしゃっと掻き混ぜて

 


保健室を後にした