高校ってこんな感じだったっけ
懐かしいっていうより、何だかアウェーな感じ
生徒として見るのと、外側の人間として見るのとで、こんなに違うもんか
そんなに歳は違わねぇのに、みーんなガキに見えるし
準備が忙しかったらしく
健とは一週間も顔合わせてない
そう、俺は電池切れ寸前
いや、どっちかっつーと爆発寸前か
もし、健がとびっきり可愛い顔して
抱きついたりなんかしてきたら
ソッコー体育用具室に駆け込んで、鍵かける勢いだ
でも今の体育館は、人でごった返している。さて…どこにしけ込もうか
…違う違う。そうじゃない
今日は健の晴れ舞台見に来たんだ
健が頑張ってポスター貼ったお陰だな
健が頑張ってポスター貼ったお陰だな
まだステージは始まってないのに
すごい数の観客で
井ノ原さんと一番前に座ろうと思ったけど、もうそこは女子高生で埋め尽くされていた
男二人、JKの間に割り込むわけにもいかなくて
「なぁんだよー。朝早くから並ばないとダメだったかー」
なんて文句言ってる井ノ原さんと、仕方なく体育館の真ん中あたりに座ってた
アナウンスが流れて、校長の挨拶やら何やらが始まって
いよいよ健たちの番らしい
会場の女子たちがざわめき始める
体育館の入口の方から
キャーって歓声が上がって
振り返って見たら
先頭から3番目に健の顔が見えた
先頭から3番目に健の顔が見えた
人が込み合う中を、ステージに向かって歩いてる
お前、いつの間に床屋さん行ったんだ
短髪になってるじゃねぇか
でも良かった。少年っぽさが増して、俺のムラムラが抑えられるってもんだ
「健ちゃん男前だなー」
なんて言ってる井ノ原さんと、ステージの方へ向き直る
まだライトは点いてないけど、太鼓が並んでるのが見えて
健がそこに立つ姿を想像して
ワクワク…いや、ドキドキ…どっちでもいいや。なんか、俺まで緊張してきたな
突然、後ろの方で
さっきの歓声とは違う、悲鳴のような声が上がる
また振り返ったら
3番目に居た筈の健の顔が
見えなくなってた