WALK vol.1 | GIN@V6〜since20xx〜

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You've got the best choice!!

…面倒くせーな。


なんで俺が、大学生の小僧相手に会社の事なんか説明しなきゃいけないんだ。


覚えてろよ井ノ原。

いずれこの貸しはきっちり返して貰おう。

 


学生向けの会社説明会。
人手不足だからと人事部に駆り出され、今に至る。


俺の発するオーラのせいか、ウチの会社のブースにはほとんど誰も寄ってこない。


さっき、冷やかしみたいなのが2、3人つるんできたけど、説明しててもうわの空。


思わず「お前ら人の話聞く気あんのか?」って凄んだら、そそくさと席を立って行った。


小僧どもが…怖じ気づきやがって。

会社入ったらな、仲良しこよしのお友達ごっこじゃ仕事にならねんだよ。ザマーみろ。


さて、タバコでも吸いに行ってくるか。



立ち上がって、ブースを出ようとした。



「よろしくお願いします」


エントリーシートを持った華奢な男。


一応リクルートスーツは着てるけど、茶髪にピアスって、どう見ても真面目に就活してるヤツの格好じゃねーだろ。



「すぐ戻る。ちょっと待っててくれ」


冷やかしなら、戻ってくる頃には居なくなっているだろう。


でも、何故かこいつは待ってるような気がして、
ゆっくりとタバコをふかしてる気にはならなかった。

 

 

一服して、小走りにブースに戻る


おっと、もう一人座ってる。
お友達?

…でもなさそうだな。


会話もなく、ただ隣に座ってるだけだ。こっちは真面目でなーんか几帳面そうだな。



スゲー対照的な二人が並んで座っている。


色でたとえるなら、そっちが赤でこっちが白。

どんな色にも染まれる白っていうより、むしろ全ての色を拒絶する白ってところか。

 


俺が話しを始めると、やっぱりさっきまでの奴らとは違っていて、ウチの会社の事をよく勉強してきてるのが分かる。


質問の内容も的を射ているし、こちらからの問いかけにもそれなりの答えが返ってくる。

 

 一通りの説明を終えると、二人とも席を立って別々に歩き出した。



やっぱり、連れじゃなかったか。



とりあえず、赤いヤツの方を追いかけて呼び止める。


「森田くん」

「はい」


一応そう返事してるけど、どう見ても

「何か用かよ、おっさん」

てセリフの方があってる顔だな。



「ウチの会社に来る気あるんなら、髪とピアスどうにかしろ。俺以外が面接担当なら120%落ちる」



一瞬ポカンとして、視線を床に落として
フッて鼻で笑ってから、睨むように俺を見上げた。


「なら、坂本さんが面接してください。じゃあ失礼します」



見た目も態度も良くないそいつが、何故だか妙に気になった。