金欠解消! | ごろつき中年ニートの怒りと弱音の日々

ごろつき中年ニートの怒りと弱音の日々

新宿歌舞伎町でホスト、ソープ、ポン引き、ボッタクリ、取立て屋、カジノ等の職につき、

一時はカジノ、麻雀荘、喫茶店等を経営していた男の、落ちぶれニート生活!!

月末の支払いの時期だが、私の気持ちは穏やかだし、満ち足りてさえいる。
何故なら今,私の財布には50万円が入っているからだ。合法とは言えないが
別に強盗で得た金では無い。


7時間ほど前、私はほとほと困り果てていた。


家賃、光熱費、携帯電話料金、クレジット会社等への月末の支払いが
20万円ほど必要だというのに、私の手元には700円しか無かったからだ。


たとえ、支払い期日を延ばしたところで、残金700円ではどうしようもない。


私は1000円でも,2000円でも,残高があれば引き出すつもりで銀行へ行った。


残高を調べると6000円残っていた。


私は喜んだ。


20万の支払いがどうにもならないというのに、たったの6000円で喜んだ。


ATMから6000円とキャッシュカードを取り出した時に私は重大な事に気付いた。

キャッシュカードにクレジットカード会社のロゴが入っている。

よくよく見ると反対から差し込めば、クレジットカードとして使えるようだ。


試しに入れてみると、ディスプレイに「ご融資可能残高10万円」の文字が現れた。

私は直ぐに10万円を引き出した。もしやと思い、もう一行のキャッシュカードを
見ると、そちらにも別のクレジットカードのロゴがあった。


私に覚えは無いが、どうやらICカードに切り替えた時に
クレジットに加入していたようだ。


銀行2軒を回り、20万円の現金を手にした私は考えた。


これで今月の支払いは出来るが、払ってしまうと1万円も残らない。


当然、この苦しい状況は変わらない。


この金を支払いに充てても意味が無い。


じゃあどうする?


この金を増やすにはバカラか麻雀しかないだろう。


しかし、20万円という金額はバカラを打つには心許ない。


100万円、否、せめて、50万円は無いとバカラに行く気がしない。


麻雀しかない……そうだ!麻雀に行こう!


ここ1年ほど、私が通っている麻雀屋のレートは1時間に、1万円動くかどうかで

完全に遊びの世界だ。今、この状況でそんなレートの麻雀を打っても仕方が無い。


私は、そこそこレートの高い麻雀屋のマスターの携帯に5年ぶりに電話をした。


5年前の私は数軒のカジノを経営していた。


ほぼ毎日、1000万円の勝ち負けのバカラを打っていたが、たまに打つ麻雀も
一時間に80万円ほどの金が動くレートだった。


マスターの店の麻雀は一時間に10万円ほどしか動かないので面白みに欠け
どうしてもメンバーが、一人足りないからと頼まれた時に
仕方なく数回行っただけだった。


5年ぶりの、私からの電話にマスターは少し興奮気味だった。


「すごい、久々じゃないですか?今何してるんですか?」


私はニートだと言う訳にもいかず、直ぐに本題に入った。


「麻雀やりたい気分なんだけど、まだ店やってんの?」


今でも私のことを金持ちだと思っているマスターは恐る恐る
という感じで言った。


「やってますけど……相変わらずレートは安いですよ……」


「レートいくらだっけ?」


「5.5.10です」


5.5.10とは千点500円の他に差しウマが三着から二着へ5000円で
ラス(四着)からトップへ1万円と言う事だ。


それとは別に赤牌、一発、裏ドラは一個2000円だから、ラスを引くと
支払いは3万円を超えるだろう。


東風戦は1ゲーム約20分だから、そのレートだと20万円持っていても、
ツキが無ければ2時間で溶ける。


しかし、ここで怯むくらいなら最初から電話をしていない。


私はタクシーでワンメーターの距離にある麻雀屋に向かった。


店に入ると、真昼間ということもあり、マスターを入れて
やっと一卓、場が立っている状態だった。


5分ほど待たされた私は、マスターと入れ替わりで席についたが
5年ぶりということで、そこに見知った顔は無かった。


そしてゲームがスタートしたが、私は数年に一度あるか、無いかの
馬鹿ヅキで出だしから6連勝した。


3連勝したあたりから、皆が私の指先を注視するようになった。
連中は私がイカサマをしているのでは無いかと疑っているようだ。


誰も、何を言うわけでも無いから、言い返すことも出来ない。


私は苛ついた。


……変な空気漂わせやがって、アヤを付けるなら、付けろよ!
こっちはお前らより遥かに高いレートで麻雀を打ってきたんだ!
修羅場の数も半端じゃ無いんだぞ!……


結局、身構えている私にアヤをつけて来る者はおらず、
4時間半後に私は店を後にした。


結果は14ゲームやって、トップ10回、2着2回、3着2回でラスは無かった。


麻雀屋からの帰り道、コンビニで自分用にタバコとビール、ワイン、肉じゃが、海老ドリアを
そして愛犬ポリンキー用にチーズとウインナーを買った。

タバコをカートンで買うのは半年振りだし、ウインナーも普段買う物の
二倍はするシャウエッセンだ。


部屋に着いた私は、レンジで温めたウインナーをポリンキーに与えてから
財布の中の金を数えてみた。1万円札が49枚に1000円札が20枚以上ある。


さっき部屋を出た時は700円しか無かったというのに……


買い物した金額を考えると31万円ほど勝ったようだ。


借金は20万円増えたが、現金は50万円増えた。


私はビールで祝杯を上げた。


コンビニの海老ドリアがとてつもなく美味く感じた。


それも、そのはずで、私はここ2日間、焼きそばしか食べていなかった。


100円均一で買ったカップ焼きそばの上に、目玉焼きと納豆をのせて、
マヨネーズをかけると、そこそこ美味いし、1食分の食費は150円で済む。


私がここ2日間で食べたのは、その焼きそばx4だけだ。


海老ドリアを食べ終えた私は風呂に入った。優雅な気分を味わいたくて
風呂に浸かりながら、ワインを飲んだら、動悸がして、頭がクラクラした。


このまま、幸せな気分で、死ぬのも悪く無いが、ポリンキーの事を思い出し
慌てて風呂から出た。


今日の私は中年ニートであることに変わりはないが
その心には怒りも弱音も全く無い。


明日、目覚めた私は今日の出来事が、夢でないことを確認するために
真っ先に財布の中身を確認するだろう……



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