「あのね、日本人は中国人をわかっていないんだよ。
本質をちゃんと見ていないから、中国人のことを、
中国共産党のことを見誤るんです。本質がわかっていない」
ふらりと寄った本屋さんで
めくった表紙の裏にあった
この衝撃的な言葉。
ペーパードライバーだし
あまり車に興味はないので
「トヨタ」の歴史についてはそこまでひかれないのだけれど
「中国」「怪物」というのが気になった。
でも実際、この本を読んでみて
日本人でありながら中国で生まれ育ち27年間中国にとどまり
中国人同様に教育を受けた服部さんが
低迷していたトヨタの中国市場をどのようにして大転換させ、
トヨタを世界一にした元社長、奥田碩を誰よりも知っているとは
一体どのような存在だったのか。
前のめりで次々読み進め
夕食の準備を遅らせてまで
読むのをやめられず、読み通してしまった一冊。
読み終えたとき
豊田家を通して、親子の在り方、仕事と家庭のバランスについても
考えるきっかけになり
トヨタにも関心が湧いてきた。
そして何よりも
今、接することが増えた中国人の子どもたちの背景にある考え方について
知ることができたのが一番大きかった。
「好 死 不 如 懶 活」
”きれいに死ぬよりも、惨めに生きたほうがまし”という意味で、
服部さんによると、これこそが中国人の本質で
潔く切腹するとか、桜のように散るといった発想は中国人にはないのだそうだ。
中国で中国人と共に同じ教育を受け
27歳まで中国にいたからこそ見抜ける本質。
そこを服部さんが持ち合わせていたからこそ
ここまでトヨタに貢献できたわけでもあり。
自分にはそこがない。
潔さや、散ることの方を重視している。
その違いをふまえて、中国の人たちと付き合っていこうと思う。
この本はビジネスマンにとってはもちろん興味深い本だと思うけれど
中国に興味があるひと
無くても、身近に中国人がいるひと
歴史が好きなひと
いろんなひとが楽しめて、新たな視点が養える一冊である。