【3】あなたは両親にどんな役割を求めるか  ー傍観者(見守る人)ー | 中国語エッセイの本棚

中国語エッセイの本棚

中国の雑誌『読者』を
中心に中国のエッセイを日本語に訳すことをメインに
中国人学生との交流や中国に関することを書いています。

中国の学歴社会の競争率は

日本の競争率とは比べ物にならない。

高い教育を受けさせ、重点大学に入れたい、

そう願う親の気持ちは同じ親としてよくわかる。

 

今回の記事は

ご両親の厳しさに悩む中学生の話の返答の代わりに

何かヒントになればと渡す予定の文章を訳してみました。

 

______________________________

 

ー傍観者(見守る人)ー

 

傍観者はおそらくもっとも特別な役で

冗談のようにも聞こえるが、実際は青少年と成年になった子どもにとって

とても重要な一種の親の役割でもある。

 

傍観者とは無関心や不作為なのではなく、

自然の成り行きに任せ、やるべきことをやる

ということである。

 

傍観者は子どもに自我を探索する環境を十分に与えると同時に

子どもが必要なときは「全面的なバックアップ」も必要なのである。

 

私が過去に会った両親は、彼らは自分の経験をもとに

子どもがやりたいことをいつも阻止している。

 

友人の両親はどちらも教師で、彼女が小さいときから厳しく干渉し

期待値がとても高く、彼女が進む進学先や専門は毎回両親が

入念に選んだものだった。

結果ある日、私は友人の両親からの電話を受け、こっそり彼女のところへ行き

状況を把握してきてほしいと頼まれた。

彼女は卒業し、仕事を始めてから、両親とは連絡を取らず、

両親が何をたずねても答えず、仕事も彼女自身で探してから

両親に伝えたのだった。

 

私が彼女に尋ねると、彼女は腹を割って話してくれた。

小さいころから両親の要求は高く、彼女が探した仕事を両親が嫌うことは

わかっていた。しかし彼女本人はとても好きで、最終的にはきっぱり

両親には相談しないことにしたのだった。

 

小さいころから両親は彼女のためにレールを敷き

それが自身の専門を好まないことにつながり

生活や仕事で多くの戸惑いに直面したが

彼女は以前のように両親が勝手に何事も進めてしまうことを望んではおらず、

このことを両親には言わず、自分で問題を解決したのだ。

 

そこに道があれば、子どもは自分で歩いていくものである。

はじめての経験はとても尊く、老婆心で道理を言ってしまうと

この貴重な経験を奪ってしまうのである。

私たちも、べちゃべちゃ人と喋るのは嫌だし、面白みのない道理を聞きたくはない。

ときには、手を放して子ども自身に「一度つまずけば、それだけ利口になる」を

学ばせ、両親は傍観者となり、子どもが経験をまとめ、そこから学び

粘り強さを底上げすることを見守るのである。

 

子どもにとって必要なときに暖かなよりどころを提供すること、

子どもが心を落ち着け癒した後に、またあらたに大胆な出発をさせること。

それは子どもを無人島に拘禁することではない。

 

子どもは成長したら、常に航海にでなければならないのだから。

 

おわり