前回の続きで、先日参加した「県中学校英語教育研究会」、
略して「県中英」で学んだことをレポートしようと思います。

今回は、学んだことがたくさんあるので、
箇条書きで記します。

報告は、次の5つの場面に分けています。
授業参観
授業反省会
workshop
Opening Ceremony
講演(高橋一幸先生)


まずは、授業参観から。
学んだことの中からいくつか抜粋してみます。

(1)英語授業で求められる「総合的な指導」「統合的な指導」の具体を見ることができた。
 読む・聞く・そして書く。最後は書かせたい。そのために、
 意見交換(話す)したり、読んだり、聞いたりして、お膳立てをしていた。

(2)机間指導
 先生が赤ペンを持って、生徒のプリントに直接書き込みながらライティングの指導を
 されていた。書き込んでもらえた生徒は、うれしそうだった。

(3)「紙」の辞書は生徒にとって「重たい」
 授業の最後に、先生が「来週、辞書もってきなさい」と言うと、
 生徒が、「え~、重いっすよ~」と言っていた。
 生徒にとって紙辞書は重いことがわかった。
 この点では、電子辞書に利があるのかもしれない。

(4)英文の理解を深めるために質問を作らせる。
 生徒に配布した英文を示して、「質問を作りなさい」という指示が出た。
 これは、内容理解を深める手段としては、なかなかおもしろい。
 (通常は、こちらが用意したquestionを生徒が解きながらの理解が多い)


続いて、授業反省から。

(5)体調不良は、頭が働かない。
 風邪が治っていなくて、授業反省中も頭がぼ~っとしていた。
 高速回転ができない。やはり、体調維持は大切。

(6)新指導要領で心がける4つの指導
①総合的(バランスよく)・統合的な(技能をリンクさせた)指導
②言語活動
③考えさせる
④自律した学習者育成

(7)会場からの質問
「家庭学習にどう取り組ませているか?」
 -家庭学習については、新指導要領で触れられたこともあり、需要あり。
  (知りたい人多い)


ここからは、Opening Ceremonyで学んだこと。

(8)世界最高の授業
「世界最高の授業は、名人が仕事をしているのを見せること」
(マイケル・ジャクソン)
 →先生が授業をしている姿を見せること。
  (授業が楽しみですか?ワクワク、ドキドキしていますか?)

(9)英語が好きだが、英語授業は楽しみではない生徒がいる
広島県の基礎・基本調査によると、
「英語が好き」60%
「英語の授業が楽しみ」52%


続いて、参加したWorkshop(Action Research)から。

(10)Action Researchの精神

When our life is full of lemons,
let's make lemonade!

この言葉の意味するところは深いと思う。

(11)Action Researchとは

授業改善の一方策で、PDCAの親戚。PDCAは「結果重視」だが、
Action Researchは、生徒中心、プロセス重視の取り組み。

(12)発表でビデオを見せるのは、効果的。

「videoです。1分間ご覧ください」という言葉で、
3回くらい生徒の変容をみるためのビデオ視聴の時間があった。
短時間で、生徒の具体をつかめるので、videoの効果は高い。

(13)英作文の誤りの4割は、○○のミス

英作文を添削してわかったことは、
そのミスの4割は、「動詞」だったらしい。

(14)授業の様子をメモしよう

授業中の生徒の様子や言葉をメモに残す。
生徒の活動中に少しメモしたり、授業後職員室でメモしたりする。
書けば、次の目標が浮かんでくる。

(14)生徒の変容を引き起こすもの

意図的に行う教師のmainor changeが、
生徒のproductを劇的に変える


最後は、高橋一幸先生の講演から。
理論と具体と熱意が入っていた、とてもいい講演でした。



(15)「授業」の定義

授業とは、「50分の先生の指導」
     「生徒の学習や活動」  を通して、

生徒の中に、 「質的変容」を引き起こすこと。
       (knoledge, skill, attitude等)

(16)「授業の鉄則」とは?

readinessを作ること。

全員ができるようステップを踏んで、
できるという確信をもって、
できた手柄は生徒に、
できたことを褒める

readinessを作らずにやらせてできない場合は、
教師の指導が×ということ。

(17)コミュニケーション能力があるとはどんな人?

Communicative Competenceの紹介

①Grammatical Competence
・文法はコミュニケーションを支えるもの
・使えるように指導する
・規則の暗記ではなく、コミュニケーションに生きて働く文法能力

②Sociolinguistic Competence
(社会言語学的能力)

・使用の適切さ(appropriateness)
・時と場、相手で適切な言葉づかいをすること。

③Discourse competence(談話能力)
・一つの話題について、まとまりのある文章を書く、話す。

④Strategic Competence(方略的能力)
・伝達上の障壁に、積極的に対処して、コミュニケーションを継続する力
・書こうとする内容をやめてしまうのは、avoidanceで×。
・英文は、「日本語にして作文の時間に発表してもおもしろいかどうか」)


(18)Magic 7
単語が7語を超えると、repeatの精度が落ちるといわれている。
が、実験では、5語を超えると極端に制度が落ちていた。

(19)即興発表力を支えるもの①

repetition、音読、暗唱などの「基礎トレ」が、
即興発表力などの実践的コミュニケーション能力を支えている。
(基礎トレは必要条件であって、十分条件ではない)

(20)即興発表力を支えるもの②
上で述べた「基礎トレ」だけでなく、
即興発表ができるような指導・体験・訓練を「継続的に普段から」行うこと。
(人は教わっていないことは、できない)

(21)professionalが留意すべきこと

専門的に深くなりすぎると、「視野が狭くなる」可能性があるので、
そこに注意。

(22)発表(実技)の観点

①Language(発音・文法等)上手に話せるか
②Content(中身)興味深いか
③Performance(発表の仕方)表情・視線などテレビ映り

(23)English class must me challenging.

(24)「コミュニケーションへの積極的な態度の育成」をどうやって?

①challenging
 ↓
②成功体験(*失敗体験=自信喪失、教師不信)
 ↓
③成就感・達成感(「やったー」「できた」)
 ↓
④積極的不満足感(「でもやっぱりまだまだ」「もっとうまくなりたい」)
 ↓
⑤表現・伝達意欲




楽しい講演でした。

高橋一幸先生の講演は、あっという間に終わりました。
歯切れよく、テンポよく、理論と実践を交えた、
とても楽しい講演でした。

また、広島においでください。

もうすぐ、大修館から、新刊も出るそうです。
(『成長する英語教師』)