12月といえば、世の中はクリスマス一色。
食ブログもフレンチとかが多くなるところだが、当ブログは天邪鬼なので、日本料理店を連発。
最近、テレビでの露出が多い、「青華こばやし」。
六本木時代を知る人は、隔世の感が否めないだろう。
狭いカウンターと歪な形の大きすぎる掘りごたつテーブルだけの小さな店だったが、あの頃の料理は一生懸命キラキラさせていた。
しかも、値段は今より安く。
荒木町に移って、お弟子さんも雇って、料理は安定してきたのかも。でも、やっぱり六本木が懐かしい。
最初は、焼きナスの煮びたし。枯山水的とでも言おうか、誠に地味なスタートである。が、この後、薬味やあしらい以外で野菜類はほぼ出てこないので、貴重なベジタブルである。
前菜は、不動の卵フライ、蛸、子持ち昆布、ホタテ。六本木時代は「痛風セット」などと言われて、アンキモやらなんやらがバンバン出てきたが、今はこのようなスタイルに。
栗のすり流しをかけた茶わん蒸し。お弟子さんが入ったおかげで、こういう料理も出せるようになった。
ご自慢のサンマ。骨を抜いて、肝を挟み込み、独特の折りたたみ方で焼き上げる。ここより美味しいサンマを出す店を、私は寡聞にして知らない。
香箱蟹。これまたお弟子さん加入のおかげで出せるようになったのでは。むくの、面倒くさいからね。器とのコーディネートがお見事。
白甘鯛のお椀。白皮のみの、生一本。この店の主義を体現した一品。
10日ほど経過したクエ。程よく脂がまわり、食感もこなれて、とてもおいしい。
薬味が多すぎてなんだか分からないが、しめ鯖。鯖寿司にしてほしいくらい、しっかり締まって、塩が効いている。
鰆の塩焼き。このあたりで、すでに気分はオットセイ。魚、魚、魚の連続波状攻撃に、味覚がうろたえ始める。
おお、魚じゃない、と思ったら魚卵。とても穏やかな味わいのいくら。
いくらで気を抜いていたら、また魚。カマスとクエの酒蒸し。
そして最後は、魚の出汁をふんだんに使った雑炊。お米がひときわ美味しく感じる。
魚好き、器好きにはたまらない店。高級ワインの揃えもすさまじい。
店主の趣味がビンビンに伝わってくる店である。