テレビドラマ「グランメゾン東京」のヒール側の監修を担ったかと思えば、あっという間に東京ミシュランの2つ星に駆け上がったり。
話題連発の、この「INUA」。デンマークの「Noma」の分店として、東京・飯田橋に迎え入れたのは、出版業のKADOKAWA。
「食もコンテンツ」というとおり、INUAでの食事は、食べるだけではなく、食にまつわる未知の体験を楽しむ劇場――、とでもいうべきであろう。
料理やワインに関しては、好き嫌いが見事に分かれると思う。
ここの料理は、フレーバーが複雑で多層的。ドイツ人のシェフが1年かけて日本中を回り(そんな余裕と資金力があるのがすごい)、探し当てた食材の数々は、日本人でも知らないもの、口にしたことがないものが多い。
それを、奇抜、と感じるか。
それとも、好奇心を刺激されて興奮するか。
人それぞれであろう。
いずれにせよ、INUAに行けば、唯一無二の体験ができることは間違いない。
オペレーションは素人っぽく、寒い中、入店までは結構混乱して待たされた。
写真では少ないが、キッチンのスタッフは20人近くいたであろうか。もちろん、多国籍軍。
アンコウの口の骨に囲まれた皿には、アンキモの冷たいスフレ。間の黒いのは、なつはぜという日本固有種のベリーの一種をシートにしたもの。冷たく凍ったスフレが口で溶けると、アンキモ由来のオイリーな味わい。
「グランメゾン東京」で、ジャニーズの玉森クンが演じる料理人が「gaku」で開発していた舞茸の発酵料理。
舞茸には、この塩漬けの桜の葉も散りばめて、と。さあ、もう、訳わからないでしょ。
文旦に似た、べにまどかという柑橘に、かんずりと発酵させたピクルスを添えて。日本人ではなく、海外の人たちがかんずりを上手に使う不思議。
京都の鬼海老にも、かんずりオイルをひと塗り。
蜜ろうの上には、プラムのジュースを煮詰めて固めたゼリー状のもの。なぜ、食事中にグミみたいなものを食べるのか?
ハスの実とかぼちゃの種のシチュー。黒トリュフがたっぷり。そして炭火で焼いた薔薇で香りづけ。生のハーブのブーケでかき混ぜて、さらに香りをつける。どこかタイ風のような、しかしトリュフは確かにフレンチっぽいし。つまりは無国籍な料理である。
炭焼きした宮崎の青首鴨をかやの実のソースで焼いたもの。レモンタイムが効いている。
鳩サブレーではない。鶏の出汁の上澄みを固めたもの。
ブナの実と鴨の炊き立てななつぼし。
さきほどの鳩サブレーに、オン。
野鴨は、頭も全部食う。
食後は色々出たが、取り忘れが多く・・・。これはワカメのミルフィーユ。まさしくワカメである。
舞茸と鴨を調理するチーム。
ドラマでも紹介されていた、発酵のための装置。
かぼちゃの種などが発酵中。
レストランの階下にある、新作開発のためのラボ。営業後に試食会をやるそうな。
本当にカネがかかっているレストランだ。
1度は行ってみる価値はある。
2度行くかは、その人しだい。
一番悪いのは、行かずに想像だけであれこれ言う人だろう。
ちなみにお支払は、パリのミシュラン2つ星と同等。