フランス料理界の香川真司――、と言われているかどうか知らないが、ちょっと似ているシェフが腕を振るうフレンチ。
初めて訪問してから随分と間があいてしまったが、今回、印象ががらりと変わった。
予約時からちゃんと相談してコースを仕立てると、抜群の腕前を発揮してくれる。
モダンもできるが、クラシックもちゃんとこなす。引出しが結構多そうで、通いたくなった。
楽しいアミューズ。ブーダンノワールのミニバーガー、秋刀魚と水ナスのマリネ、一粒カスレ(笑)、シャインマスカットとコンテとチョリソ。
赤パプリカのムース、大石早生というスモモにトマトの澄んだエキスのガスパチョ。小さい料理だけど、手が込んでいる。
写真を撮り忘れたが、北海道釧路の真ガキを51度の温度で火通しした温製の後、こちら。
牛のタルタルの上に、牡蠣のヒモをのせたもの。
オマール・ブルーとテット・ド・コション(仔豚の頭)の料理。ゼラチン質のテット・ド・コションが素晴らしい。これ、大きなポーションで食べたい。
京都・舞鶴産の黒アワビを丸ごと火通しして、肝のサルミソースをかけたもの。
臭みはなく、肝の良い風味だけが濃厚に伝わってくる一皿。
山口・萩産の真ハタとモンサンミッシェル産のムール貝のサフラン風味フリカッセ。これまたとてもクラシック。
夏ジビエのトゥルトー。夏鹿、夏ウサギ、アナグマの三種混合。これにフォアグラ、豪州トリュフ、つなぎ的に豚と鴨のミンチを入れている。
モナリザというより、タテル・ヨシノ的な味わい。
お得意のミルフォイユ。
大変満足な食後感。
次回は皿数を減らして、1皿を大きく作ってもらおうかと思う。