食通の人たちの間で話題になることは皆無だが、「昔の名前で出ています」的ブランド力で、週末は相変わらず客入りが良い「日影茶屋」。
ちょっとグレードが高い和食ファミレス――、とでも言うべきか。
客層は高齢夫婦から、赤ん坊連れ親子まで、幅が広い。
出てくる料理も関東圏の濃い味になれた人向けで、コースは特に垢抜けない。
ここへ来たならば、アラカルトで好きなものだけ食べるのが一番無難だ。
サバの押し寿司。
酒肴のカテゴリーなので小さいし、酢締めもきつい。
揚げ銀杏。ものは良い。たたみいわしを器に見立てているのも悪くない。
佐島のアジ。サイズも良く、味が乗っていて、歯ごたえもまずまず。
茄子と飛龍頭の炊き合わせ。味が濃い。
鴨の治部煮。
二色の田楽。
みょうがとズワイガニのジャガイモ巻揚げ。
ちょっとした創作料理もある。
定番の豚長崎煮。もうちょっと脂身が多いと良いのだが。
私にとっては、葉山に来て、他の店が満員でどうしようもない場合、非常時の一手として使える店、という位置づけだ。