川沿いの桜でも見がてら、出かけてみるか、と重い腰を上げて新規開拓で「スゥリル」という店へ。
Facebookで見ていると、使っている素材が良さそうだったから。
それ以外に特に理由はなく、えいや、と飛び込んでみた。
結果オーライ。
料理のレベルはなかなか高い。
聞けば、銀座の「マノワール・ダスティン」で長く働いたシェフだとか。
五十嵐門下生にハズレなし――、個人的な思い込みを一層強くした一夜であった。

チーズや黒ゴマを使ったアミューズ。シャンパーニュによく合う。

アオリイカのタルタル。キャビアのようにとんぶりを混ぜてある。
この種のアミューズをいくつか続けるのは、今の流行りか。「シック・プテートル」などを想起させる。

マグロのポアレにパプリカや新玉ねぎをのせ、卵を散らしたサラダ仕立て。
ニース風サラダの再構築というのは「タテル・ヨシノ」で出てくる料理だが、これもその路線。
マグロが良質。

ウニと新玉ねぎのパルフェ ウニと甲殻類のソース。
冷と温の2つの感覚、新玉のなめらかムースとしゃきしゃき感がそれぞれ楽しめる。
一皿で目まぐるしい味わいの料理だが、それを力強いアメリケーヌソースがひとまとめにつないでいる。

これはゴージャス。フォアグラとタケノコ、あわびのマデラソース。
プチポワに田芹も散らして、春らしい香りをプラス。
前の料理もそうだが、クラシックなソースを基本に忠実に作っている。アワビとも意外に相性が良かった。

魚はアマダイ。富山のホタルイカに白アスパラ。
皮目ぱりぱり、中しっとりの焼き加減が上手。味の構成もこれまた春要素ふんだんで、季節感を満喫できる。

メインは、これも最近の流行、サフォークラム。ジュのソースに、アクセントとしてレモンピールの塩をふってある。きれいな焼き加減で、ラム特有の香りも穏やか。
付け合せも凝っていて、コシアブラやコゴミのフリット、ラタトゥユが少量ながら良い脇役。


割とオーソドックスなデザート2品が出て、15000円のコース終了。
立地から考えると、やや高いかな、と感じたしだい。
ただ、料理の内容、質には満足。
次回は下の価格のコースを試してみたいと思う。