値頃な鉄板焼き 三と十 麻布十番 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

不当に高く、得てして不味い。
「鉄板焼き」という業態は、前々からあまり好まない。
肉の火通しが特段上手いわけでもなく、塩加減が絶妙というほどでもなく、海鮮系はだいたいが古くてモノが悪い。
その割に、えらい値段をふっかけてくるからたまったものではない。

経費で飲み食いするおっさんが好む業態――、というのが私の中の鉄板焼きの位置づけであった。

しかし、この店「三と十」は割と良心的で、ひそかにちょいちょい行っている。

産地は決まっていないが、国産のヒレ肉の良いのを、そこそこの値段で食わせてくれる。
肉以外もそれなりのレベルで、焼きそばやお好み焼きも同時に楽しめる。
深夜営業で使い勝手もいい。
ついでに店主はイケメンである。



焼きロメインレタスのシーザーサラダ、温玉のせ。
ここへ来るとたいてい注文する。少し火を通して甘みが増すロメインレタスとドレッシングやトマトの酸味がよく合う。たっぷりのベーコンも上質。


焼き野菜四種盛り合わせ。
10種類くらいから好きなものを選ぶシステム。芽キャベツの白トリュフ塩など、平凡に見えるが細部はこだわっている。


九条ネギとスルメイカのわた焼き。
鉄板で焼いている時から、いい香りが立ち込める。酒飲みにはこたえられないアテだ。


ご自慢の国産A5黒毛和牛のヒレ。120グラムで5400円。
噛むとくずおれるような、はかない弾力。肉汁も豊富で、旨みも充実。
決して安くないけれど、モノに見合っている。同質でもっと取る店はたくさんあろう。


締めは様々あるが、気に入っているのが、このにんにく塩焼きそば。
これまた酒に合うため、締まらないから困ってしまう。
お好み焼きも、丁寧な仕事でうまい。

大物ベテラン芸人が常連、というのがウリの一つ。
苦労して稼いだ人ほど、バカ高い店でムダ金を使ったりはしないのだろう。
コスパのみならず、居心地が良いことも、付け加えておこう。