独自の境地をゆく ヒロヤ 青山 | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

仏和融合のカウンター料理屋。
このフレーズの前に、イケメンと美人がやっている、を付ければ「ヒロヤ」を形容するに十分だろうか。
あまり褒めるのが上手でないわたしが、3度目の訪問でもこれと言ったアラが見つからなかった。
無理して探せば、例えば空調換気とか、全面喫煙可であるとか、問題はなくはない。
ただ内装の難点は、値段の安さで相殺されている。
喫煙も、画になる美人がくゆらす紫煙なら、我慢できる(かな)。

それらはいつの日か、移転でもすれば解消される話だ。ともかく料理が面白いのだから、七難あっても気にならない。


前菜、まずは「柔らかい牛タンのサラダ仕立て」。
看板に偽りなく、本当に柔らかい。歯だけは丈夫なタチなので、柔らかいものを尊ぶ者ではないが、これは味がよく含まれていて、柔らかいことに意味がある。
いろいろ盛り込んだ野菜使いも上手。詳細コメントをしているとキリがないからやめるが、このような味の構成は、センスとしかいいようがないのだろうな。


続いて、タコのガーリック炒め。そんなような陳腐な料理名だったように記憶するが、見てのとおり、そのへんの居酒屋料理とは違う。タコの火通しも程よく、土の香りや苦みの利いた緑野菜もなかなか。


こちらは、穴子の炭焼きとアボカド、茄子。
ふっくら香ばしいアナゴに、実山椒の利いた甘めのソースが絶妙。


メインは、山羊のロースト。
調理1人、狭い厨房で、よくもキレイに焼き上げるものだ。
このピンク色をみると、「ドゥエリーニュ」の豚を思い出す。
適度な脂身のある山羊は、かじりごたえがあり、染み出る肉汁が実にうまい。


「赤に合う締めごはんを」と注文したら出てきた、ホロホロ鳥のリゾット。
洋風おじや、というべきか。皮目パリパリの肉と、鳥出汁をたっぷり吸ったコメが互いを引き合う。古いニュイ・サン・ジョルジュとドンピシャであった。

早い時間の予約は難しいようだが、2回転目を狙ってでも通いたい店である。