2連泊する客が困らないように、ということだろう。
いずれを選んでも、文化財指定されている「翠松園」での食事となる。


鉄板焼きは、詰めても2人×3組ほどだろうか。
よって、たいがいは先に予約した客で満員となっている。
今回は火山騒動で空いていたため、2組四人しかいないという珍事。

前菜は、甘海老とアボカドのタルタル、フォアグラのムース、金太郎鱒のマリネ。
金太郎鱒とは、富士山の湧水で育てた、と称する静岡産の養殖ニジマス。
どれも、地方のホテルのフレンチの域を出ないレベル。

続いては、地鶏のクネル入りオニオンスープ。
ベテラン風の焼き手が、「説明しよう、クネルとは・・・」と始めたのには、苦笑させられた。
鶏で作ったらクネルじゃないよ、などといじわるを言いたくなったが、一口食べて、口を慎む。
生姜風味のつくね以外の何物でもない団子。料理人をいじると気の毒になるほどの和風の味。

クネル(料理人はキュネルと言っていた)の後は、なぜかお造り。カワハギの薄造り。
鮮度はそんなに悪くないのは、日本料理と兼用なのだろう。

魚料理は、3800円プラス料金をとられる活鮑のアンチョビソースを選択。

可もなく不可もない出来。非日常の旅を盛り上げてくれはする。

メインは、特選黒毛牛のフィレ。神奈川の足柄あたりの牛だそうで。
料理人は「葉山牛なんか全然ダメ。あれは交雑牛だから」と、神奈川の牛事情に詳しいような顔をしている。
そんなウンチクはともかく、このフィレ、へらず口を叩くだけあって、なかなかうまい。
焼き方も、脂まみれにせず、ゆっくりと火を通して、中をきれいなバラ色に仕上げている。
肉を焼く腕は悪くないようだ。
この後、シソが入ったガーリックライスと水菓子が出て終了。
人気の理由は、単に日本人は牛肉が好きで、鉄板焼きが分かりやすいご馳走だからだろう。
メイン以外の料理は、特筆すべきものはない。
日本料理か鉄板焼きか、と問われたら、私は迷わず日本料理を選ぶし、人にもおすすめする。