屋久島でうまかったもの | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

5月の連休に行ったのに、もうはるか昔のような気がする屋久島。
海も山も滝も雨も、どれも良かったのですが、思いがけなく食も満足でした。

「サンカラ」という宿で食べた中で、おいしかったのものを列挙します。



これは「安房沖・飛魚のカダイフフリット 永田・秋本さんが作った極上カラスミと胡瓜のソース和え」。
安房沖とは、ホテルの前の海のこと。
脂がなくパサパサな飛魚。島の店では丸揚げだの刺身だので出していますが、全然おいしくありません。
が、しかし。なるほどカダイフとは考えたものです。
油分がしっかり加わり、パサパサ感を抑えます。
極上かどうかは微妙ですが、からすみの塩気も効いています。
ちょっとした前菜も、シェフは良く考えて構成していました。感心です。


こちらは、「屋久島・鹿児島の有機野菜と山野草 初夏野菜のテリーヌ仕立てと西米良サーモン添え」。
西米良サーモンとは、宮崎県の山奥、西米良村で養殖しているカワマスとエゾイワナの掛け合わせ魚。タルタル状になっていましたが、下手なサーモンよりクセや臭みがなくて、素直な味です。
野菜のテリーヌは、「オー・グー・ドゥ・ジュール」も真っ青の、ちゃんとした出来栄え。
力のある素材を上手に火通しして活かしています。


これは、「屋久島産・アサヒガニ 霧島・天日干し”ひのひかり”のリゾット」。
アサヒガニはこれ。

島特産の丸っこいカニです。茹でる前から赤いのが特徴。
丸くて赤い姿が昇る朝日のよう、ということでアサヒガニなんだそうです。

「ひのひかり」は鹿児島・霧島の特産米。
カニのほのかな甘みとパルミジャーノの塩気を上手に合わせたリゾットで、米の噛み応えも抜群でした。


こちらは「安房沖・アカジョウのヴィエノワーズ 鹿児島・ほうれん草のソース」。
アカジョウはハタの一種で、沖縄でいうアカジンミーバイのこと。
これも淡泊なので油通ししています。ブリッとした良い身質なので、うまく味や濃度をつければ、それなりに食べられるというのがよく分かりました。
これもシェフの努力作でしょう。


メインでおいしかったのは、この「幻の地鶏・天草大王 二種盛り合わせ、屋久島野菜とその焼き汁」。
幻の地鶏はさすがにおおげさでしょうか。
天草の「五足のくつ」へ行くと、いつも食べさせてくれます。
それはともかく、モモの部分をバロティーヌ風にしているのがとても良くできていて、ブルゴーニュ赤にぴったり。
胸肉もさほどぱさつかず、ソースとよくなじんで、するすると口にはいっていきます。
離島でこのレベルのメインが食べられたら、本当に御の字です。

屋久島気分を満喫するなら、素泊まりの安宿に、町の居酒屋なんでしょう。
それはそれとして、「サンカラ」にはまた泊まりに行きたいと思うだけの魅力がありました。
おすすめです。