




江ノ電・江の島駅から少々歩くことになる、あまり良くない立地。
にもかかわらず、週末はいつも満席です。
出身店である「アロマフレスカ」は、銀座へ進出して勢いを失いましたが、お弟子さんたちは腰越の地で、着実に地歩を固めています。
随分久しぶりの訪問でしたが、相変わらず、使っている素材がいいですね。
魚は横須賀の長井や三崎から、野菜は藤沢産のものが主なのでしょうか。
いずれも、良質です。
それでいて料金は、6皿のコースで5000円。アラカルトは、前菜が1300円、パスタが1600円、メインが2300円で、追加料金もなしの単純明朗。
同価格帯で腐ったイタリアンが横行していますね。それと比べると、ここの値付けは本当に良心的です。
いついつまでも、その姿勢を変えないで欲しいものです。
さて、アラカルトで頼んだ料理。

まずは前菜、三崎産ヒラメのカルパッチョ、サルデーニャ産カラスミ添え。
ヒラメの身の締りが非常に良い。銀座の生意気な寿司屋も、ちっとは見習え、と言いたいくらい。
しかもありがたいことに、大振りのえんがわが2切れも入っていて、これがまた素晴らしい。
サルデーニャのからすみは好物ですが、これだけ良いヒラメだと、別になくても構わないような気がしました。

前菜その2.長井産ヤリイカのソテー、黒オリーブとアンチョビのオイルソース。
プリンプリンのイカに、かなり味の濃いソース。アンチョビを焦がすようにして香ばしく仕上げてありました。イカのアクセントとしては、パンチがあって良いかと思います。今度、自宅で真似してみようかと。

パスタは、旬野菜のスパゲッティ、アーリオオーリオ。
桜えびや白魚、トリッパやウサギなど、多彩な素材のパスタがある中で、最も地味なのを選択。
昔、フランス人から「材料費が一番安そうな料理ほど、美味いことが多い」と教えられたのを、時々思い起こし、実践しています。
この野菜パスタは、選んで正解。本当に色々入っていて、それぞれに個性があって楽しい。
蕪のような冬のなごりを感じるものから、菜の花など春本番のものもあり、季節の移ろいを舌で感じるスパゲッティでした。

こちらはイカ墨のリゾット、富山産ホタルイカのソテー添え。
多くの堕落した店が既製品のイカ墨ペーストを使って、同じような味になっている中、ここのは出汁が効いていてしみじみおいしい。ホタルイカは春らしさを出すためなんでしょうが、あってもなくても構いません。イカ墨の味わいだけで、十分満足がいくリゾットです。

メインは、三崎産サワラのアクアパッツァ。
ちょっとシャバシャバで、お上品な感じ。もっと煮汁が乳化して、煮詰まっている方が好みです。
あと、鰆の切り身というのが、何ともさびしい。
この料理は、骨がついた魚でないと、やっぱり雰囲気がでません。

メイン2は、長井産ホウボウとアスパラ菜のソテー、イカ墨ソース、黒トリュフ風味。
トリュフの風味は弱く、かつ必要なのかという疑問もありましたが、イカ墨ソースはこれもコクがあって上出来です。ホウボウという淡泊な魚には、よくマッチしています。

モンテビアンコも、良く頑張っています。
こじんまりした店内ですが、調度は色やデザインが良く吟味されていて、田舎臭さはありません。そんな店のすぐ前を、レトロな江ノ電が走る――。そうした風景も含めて、多くのリピーターに愛されているのでしょうね。
アクセスが悪く、予約も取りにくいので、次がいつになるか分かりませんが、遠からず再訪したいものです。