天神、と答えたあなたは常識人。
ラブホテル、が脳裡をよぎったあなたは、きっと恋多き冒険家でしょうか。
スナックやらソープランドやらホテルがひしめく一角に、「魚とステーキの店」と題した「平」という店があります。
雑居ビルの階段を昇った2階。
通りがかったついでに「入ってみようか」と思う一見さんはいないでしょう。
だって入口も店内も、もろスナックなのですから。
外見からは、およそまともなステーキを食わせてくれそうな雰囲気が、微塵もありません。
なのに、です。
これが結構イケる肉を焼いてくれるのです。
この店、魚料理も結構充実していて、この夜もほうぼうや赤貝などの刺身盛り合わせからスタート。

続いて、これ。イチボです。
きれいですね。口に含むと、上質なクリームのような脂の味わいがひろがります。
量は食べられないですけどね。

続いて、イチボの塊をステーキで。
火は備長炭。最初、炭にひっつくくらい火に近づけて、表面を焼き固めます。
その後、火と肉を離して、じっくり熱を入れる焼き方。
産地は、聞いてません。
黒毛和牛というのは、産地って重要なんでしょうか?
よく産地をたずねる方がいますが、ワインでいうテロワールの違いみたいなものが、産地ごとにあるんでしょうか?
「む、この香り、神戸だな」とか、「この肉汁こそ、松阪の本質」みたいな、ブラインドテイスティングで産地の特徴を言い当てるようなことってありますかね??
むしろ牛の種類が同じなら、日本の場合、あとは土地よりも生産者の育成法の違いの方が大きいように思いますが、どうなんでしょうね。うとくてすみません。

メインのヒレステーキ。
表面がカリッとするくらいの焼き加減で、中はレアでしっとり。
最後に火にくべる藁の煙にいぶされて、スモーキーな風味が効いてます。
サシは少な目ですが、あっさりというわけでもなし。
ホースラディッシュも何も不要。ストレートで楽しめる、程よい熟成具合の赤身でした。

締めのカレーが大変スパイシーで美味。
カレーも門外漢なので語る言葉を知りませんが、炊き立ての土鍋ご飯もちょうど良い硬さで、具がトロトロに溶けたカレーと良くマッチ。
立地も内装も「?」マークがつきますけど、ステーキは悪くありません。
しょっちゅう行きたいとは思いませんが、たまにかっこうを気にせずに肉を貪りたいと思うときには、適した店です。