料理そのものに力がないのを、あれこれ演出をこらしてごまかしている場合が多いのではないでしょうか。
しかし、マドリードの2つ星レストラン「エル・クラブ・アジャルド」の場合、サプライズには程ほどの面白さと抑制が効いていて、かつ味もなかなかいけるという、両立が見られました。
こんなスパニッシュが東京にもあったらな、と思わぬでもありません。
コース料理の後編も、楽しくおいしい展開でした。

パート生地の中に薄いパンと生ベーコンでくるんだ卵が入った料理。ジャガイモの軽いソースがかかっています。

パカッと割るとこんな感じ。豚と卵黄とじゃがいも。不味いはずがない取り合わせです。

バスクの海であがったマグロの料理。レモングラスなどアジアンなハーブとスパイスを使って、甘酸っぱく仕上げています。
サプライズはないけど、無難においしい。

魚2品目は、ベニノキの成分でマリネしたボラの一種(らしい)。
香りが大変よく、ボラの仲間とは思えない身質で、これまた手堅くおいしい。
「サンセローニ」と違って、魚介料理が得意なシェフとお見受けしました。
ハーブやスパイス使いの引き出しも多様です。

さらに海の物。
きくらげとイカをまたまたわさび風味のソースで仕上げたもの。
このあたりは、日本人の方が上手に作りそうな料理ですが、欧州人にはわさびの風味だけでエキゾチックなんでしょうね。

ようやくメイン。
乳呑み仔羊の肩肉を煮込み。タンドリー風味がするクランブルが添えてあります。
ほろほろと崩れるような幼羊には、しっかりと味が浸透しており、味わいはとてもクラシックです。
タンドリー風味がなければ、伝統的な料理と受け止められるところでしょう。
ひとひねりしないと気が済まないタチなんでしょうね。いいことです。

デザートひとつめ。
イチゴ風味のジントニック・ソルベ。口の中、さっぱりします。

2つ目は、チュロスのお菓子コンテストで賞を取ったらしいデザート。
題して「金魚鉢」。
生チーズのクリームが美味で、サンゴに見立てた赤や緑がチュロス。
ニモがかわいいですね。

3つ目は、「ポーチドエッグ」。写真は割った後です。
外側はミルクチョコ、白身はホワイトチョコ。黄身はマンゴソースです。
子どもっぽいですけど、チョコ好きにはたまりません。

コースのフィナーレは、「ブッタのお顔」。

上から水をそそぐと、ジュディー・オングのディナーショー(行ったことないが)のように、ドライアイスがモクモク。
晩餐を楽しく締めくくってくれました。
バイ・ザ・グラスでワインを付けてもらっても、納得のいくお支払でした。
「サンセローニ」に行くくらいなら、絶対こちらをおススメします。
要予約。
ただし、21時からのディナーで、エンドは0時は過ぎます。
他に一組の日本人がいましたが、メインのあたりから舟を漕いでいたのが哀れでした・・・。
昼寝をしてから出かけると良いでしょうね。