イル リフージョ 葉山 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

逗子周辺で良質のイタリアンを食わせる、おそらく唯一のお店。古民家という舞台装置が、人気に拍車をかけています。料理と雰囲気に自信があるからでしょうか、サービスでは客に一切全く媚びません。陽気なイタリア、とは無縁の接客ですが、気にせず皿に集中すると良いでしょう。
★★★★☆


最寄りの鉄道駅は逗子でしょうか?だとしたら、遥か遠くです。
バスに乗ったとして、はたして何十分かかるやら。
さりとて、車で行けば酒は飲めない――。

逗子・一色海岸、御用邸の割と近くにある、何ともアクセスしがたい立地。
なのに、週末は早めの予約が必要なのですから、たいした人気です。

黒板一面にズラズラと書かれたアラカルトは、目移りしてしまいます。
しかし、当然ですが、お得なのは5250円からのコースのよう。
他の客のを見ていると、結構ボリュームもあって、満足度が高そうです。

さて、以下は夜のアラカルトより。

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初手は水ナスとパルミジャーノのサラダ、1500円。
チーズとバルサミコの塩気が、水ナスの甘みを存分に引き出す一皿。
湘南豚の肉でしょうか、細かくした煮込み肉がアクセントに入っています。
普段、水ナスはもろ味噌で食べていますが、パルミジャーノの発酵香、熟成香との取り合わせも、非常に面白い。

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前菜その2は、スルメイカと太刀魚のフリット。
いずれも、佐島界隈で揚がったものだそうで。
熱々の太刀魚が、実にいい。
身がほろほろと抵抗なく崩れていく感じ。
ホクホクと、澄んだ白身の香りが鼻に抜けていくのが何とも言えません。
対照的に、コリコリとした歯ごたえのスルメイカは、ゲソやミミが抜群。
大地の恵み、甘み豊かなズッキーニも添えられ、上手な地産地消をしています。

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パスタは、まずシチリア風ウニのスパゲッティ―、1900円。
シチリアでもお目にかかったことがないレシピです。
刻んだズッキーニに、小さなドライトマトがアクセント。これが実に甘い。
ウニも力強い。磯の香たっぷりの持ち味が、味覚を攻めてきます。
アロマフレスカの少量ウニパスタが、洗練にして無、とすれば、ここのは野にして妙。
記憶に残るのは、銀座ではなく、逗子の方です。

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パスタ2品目は、佐島の魚介のジェノベーゼ。パスタはピチです。
普通は必要以上に緑色をしているジェノベーゼですが、ここのは庭から採れたてのバジルを使うからでしょう。目よりも鼻に訴えてきます。
天使のエビ風のやら、ブランドモノのタコやら、ぷっくりとしたアサリやらがたっぷり。
それらが渾然となった出汁は、海のエキスそのもの、とでもいえば良いでしょうか。
これが、シコシコむちむちのピチに絡まりついているのを、想像してみてください。
佐島の恵みを食しに、わざわざ逗子まで出向く価値は……、ありです。

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最後は、仔羊の香草グリル。これも庭でとれたローズマリーをたっぷりつかっています。
魚介に比べると、感想が言いにくいシンプルさ。
正直いって、普通です。



サービスの方には、あれこれいつも叱られてばかりですが、こちらは馬耳東風。
あくまで料理を楽しみに、また遠からずうかがうつもりです。