魚尽くし料理とワイン | 御食事手帖

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主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

毎月恒例の日本料理とワインの相性研究。

いつもの「こばやし」に、今回はこの2本を持っていきました。
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右が、イタリア・カンパーニャ州のスプマンテ、ダブル ファランギーナ。
左は、ニュージーランドのTWR マールボロ トウル。日本人の徹さんが作ってるわけではありません、念のため。

極上の魚料理が続くこばやしさんには、いつもそれなりのシャンパーニュなどを用意していました。
が、いつもいつもシャルドネでいいのか?そんな保守的な思考ではいかんのではないか?という疑問もわいてきました。
なので、ここのところは意識して面白そうなワインを試しています。

スプマンテは、土着のセパージュ「ファランギーナ」100パーセントで作っているそうで。
シャンパーニュの活仏、アンセルム・セロスがパートナーとなって造っている点がウリなのですが、モノは似て非なるレベル。値段が「イニシャル」の5分の1ほどですから、当たり前ですね。

濃黄色で、見るからに陽当たり良好な印象。
香りも味も果実味たっぷりで、ぶどう由来の甘やかさが漂います。
ぽってりした飲み口ですから、酸を求める料理には向いてません。

前菜3種盛りの中では、宮古島産の茶豆が相性良。
甘いツメとからめた煮アワビは、わさびをたっぷりつけるとOKでした。

お椀は、旬始まりの鱧とじゅんさい。
キメの細かい白身が口の中でホロホロと溶けて、ほんのりした脂の甘みが後味に残ります。
プチュプチュのじゅんさいの青い香りと、酸味抑え目の梅肉が良いアクセント。
このお椀も、キリッとした酸のあるワインの方が合うでしょう。

続いてこの日の造りは、そろそろ旬のマコガレイ。
厚切りのブリンブリンのを、肝醤油を付けて食べるとたまりません。
この店で香りの高いマコを食べてしまうと、他では辛いです。

もう1品は、サバ。
コバルトブルーから銀色にかけての美しいグラデーションが、鮮度の良さを物語っています。
この店の名物、たっぷりすぎるミョウガとあさつきとともに食します。
背の身の味が実にきれいで混ざり気がありません。薄腹の脂も過ぎたところがなく、うっすら締めた酢加減とマッチしています。

ここで、白ワイン。
NZの南島で作られたテ・ワレ・ラ。
リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリの3種混合。
ちなみに、トウル(TORU)とはマオリの言葉で「3」を意味するのだとか。
冷涼な南島なので、酸があるかと思いきや、こちらも果実味がぎっしりとして、甘さがあります。冷やしてアペリティフにしたり、チーズや塩蔵肉を使った濃い料理には合いそう。
サバにはちょっとミスマッチなワインでした。

しかし、塩を効かせた太刀魚の炭火焼には、そんなに悪くありません。
絞ったすだちの酸が、ワインに加担するのでしょうか。
たっぷりした太刀魚の脂と、妙に引き合いました。

この後、黒ムツの昆布蒸しと、その雑炊が出て、魚尽くしのコース終了。

ワインなんか持ち込まず日本酒を飲めばいいのかもしれません。
が、チャレンジは成功しても失敗しても、発見があって面白いもの。
めげずに、次回もあれこれやってみるつもりです。