修善寺の旅館「あさば」の朝食は、まさにこの一語に尽きます。
おかずというよりは、気の利いたつまみの連続。
腐った旅館の晩飯よりも、はるかに充実しています。

しょっぱなから、七輪の登場。
定番は大きなしいたけを焼くのですが、今回は違いました。

生湯葉をまとめたものを厚揚げのように揚げたもの。
これを七輪で香ばしく焼いて食べます。
もう、これがうまいのなんの。
昨夜飲み残したブルーノ・パイヤールN.P.U1995年と一緒にやると、なかなかです。
泡は弱くなりましたが、その分、白ワインの全体像と前夜からの変化が楽しめます。

あつあつできたての出汁巻たまごは、レギュラーのメニュー。
白ワインのオベールも残しておいたので、それと一緒に。
カリフォルニアのワインは、グラスに注ぐとすぐに香りがなくなる、という珍説を唱える方がおられますが、2日目はさらに馥郁たる香りがこんこんと湧きあがり、複雑な変化を楽しめました。
当たり前のことですが、安物・低レベルワインは、たとえフランス産であっても、香りはすぐ消えることがあります。お気の毒な安ワインを飲んで、すぐに香りが消えたからといって、カリフォルニア丸ごと全体が「香りがすぐ消えるダメワインの産地」、などと言えるわけがありません。

さらに若竹煮や焼き魚などが次々出てきます。
この若竹も、夜の料理でも十分通じるクオリティーです。
最後は、絶品のしじみ汁と炊き立ての銀しゃりで締めます。
ここのしじみ汁は、いつ飲んでも本当に見事なもので、貝の処理も出汁もちゃんとしています。

いちごと定番のぜんざいで終了。
サービスの綻びが若干気になりはしますが、それ以外は大変満足な1泊2日でした。