あさば 修善寺 後半 | 御食事手帖

御食事手帖

主に東京と湘南で食べ歩き、でも美食のためならどこへでも旅するブログ

ここの宿飯の良いところは、客の面前で料理の仕上げをし、温度を整えて出してくるところ。
チープな固形燃料など使わずに、コンロや七輪を駆使して、客の目を楽しませてくれます。

同価格帯でありながら、箱根・宮ノ下の「吟遊」とは大きく差をつけています。

さて、夕食の後半。

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鱒と木の芽の炭火焼。
部屋に、この状態で持ってきます。

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ちょうど良い焼き加減で、お膳に。
木の芽の香りがすがすがしく立ち上ります。
パリッと香ばしい皮目も結構。

ワインもシャンパーニュからチェンジ。
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カリフォルニア白のトップワイナリー、オベールのリッチー・ヴィンヤード2005年。

オベールを飲むのは、これが2回目ですが、やっぱりうっとりするワインです。
少々濁りのある黄金色。トロピカルフルーツ、ミネラル、ノワゼット、クロワッサンの香りがたっぷり。
しかし、カリフォルニア特有の大柄なだけのワインではありません。
飲むと、心地よい酸が感じられ、きれいにバランスがとれています。
ブルゴーニュの上位と、十分に張り合える品質と言ってよいでしょう。


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酢の物は、浜防風とアワビのすだち酢あえ。
柑橘の柔らかい酸が、ワインとうまくシンクロします。

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揚げ物は、赤座エビの唐揚げを、揚げびたしにしたもの。
立派なエビです。「と村」ほどではないですが、辻堂の「玉寿司」で出てくるくらいの大きさ。
これをカラッと揚げて甘味を引き出し、さらにコクのある出汁を含ませています。
オベールのための料理、と勝手に思ってしまうくらい、ドンピシャの相性でした。

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名物のアナゴ黒米寿司。
とろりと炊かれたアナゴの下は、もちもちシャリシャリとした食感の黒米。
アナゴの脂と、シャルドネの果実味と酸が、綱引きをするような感じ。

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さらに、炊き合わせ。新玉ねぎといんげん、和牛ほほ肉の白みそ仕立て。
店主がこわい京洛肉割烹「いっしん」よりも、はるかに上品な味わいです。
甘すぎない白みそが、旬の新玉ねぎを引き立てる料理。
白ワインでもまったく申し分ありませんが、グラスに残しておいたシャンパーニュの方が、味噌の渋みと良く合いました。

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最後は、竹の子ごはん。
炊き立てのあつあつを、はふはふとかきこみます。
米の自然な甘みと、竹の子にかすかに香るアクの渋みが、まったくもってワイン向きです。
オベールの中にも、心地よい渋みが潜んでいることに気づかされました。

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定番の白ごまブランマンジェで、夕食は終了。

宿飯としては、文句のないレベルだと思われます。
「いや、こんなのより、もっといい宿がある」とおっしゃる方、ぜひ教えてください。