旅館好きの多くは同意するでしょう。
大量生産の朝食バイキングでさえ、非日常的な楽しみを与えてくれます。
まして、一品一品、手をかけて作ってくれた料理となれば、寝ぼけた顔もほころぶでしょう。
わたしには、そこに1杯のビールが添えられていれば、言うことなしです。

朝の水分補給。
牛乳は「加賀分校(ぶんぎょう)平松牧場」のもの。地産地消です。
ジュースは、ビタミンCスペシャル。しぼりたてです。

こちらは麦のドリンク。サッポロ系のエーデルピルス。


和洋食共通のサラダは、加賀・柴山の産。自家製ドレッシングは、オリーブレモンと胡麻の2種。
ヨーグルトはこれも平松牧場のもの。
素敵な九谷の器です。


こちらは洋食。焼きたてのトーストは、温かいのを次々持ってきてくれます。

こちらは和食。

能登・セイアグリー健康卵をつかった出汁巻き。
おろしにかける無何有製の丸大豆醤油がたまげる味わい。発酵した大豆の香りががつんときます。本来醤油とはこういう味だったのか、と考えさせられました。
奥の魚は、カレイの炭火焼。支配人風の人がせっせと焼いてました。

焼きのり。下に小さな炭が入っている仕組み。「あさば」と同じ。

温野菜は、近郊で採れたオーガニック物。
何と言うことのない蒸し野菜ですが、噛むと味と香りが明快です。
東京で粗末な野菜に慣れた口には、当たり前の味が新鮮です。

土鍋ごはんは、中津原産の加賀こしひかり。
白い飯というのは、うまいもんだなあ、とひとりごちてしまいます。
これに、生の釣り鱈子をのせて食べたら、最高でした。
飯椀は、美陶園のもの。

これも出色、あさりの味噌汁。
粒が大きいのを、丁寧に洗ったと思われます。ピュアな汁の味が印象的。
全体として、宿の宣伝のような甘々の内容になりましたが、気分の良い旅の時には、人間、精神が弛緩してトゲがなくなるものです。
粗をあげつらうならいくらでも書けますが、今回はこのへんで終わっておきましょう。
九谷焼が好きな人なら、試してみる価値はあるでしょう。
ただ、施設も料理も簡素を旨としていますから、絢爛豪華を期待する向きには勧められません。
個人的には、真冬にまた行きたいものです。