




しょっちゅう出向く四谷三丁目ながら、完全にノーマーク。見落としていました。
ちゃんと新規開拓しないとダメですね。
青年2人が料理とサービスを分担する、カウンター10数席のみの小さなお店。
「フランスで1年料理修業して、日本でイタリアンを学んだので、せっかくだから両方の料理を出そうと思った」。
実に節操のない、いやもとい、フリーダムな発想の料理人です。
確かに、日本人は欲張りですから、「フレンチもイタリアンも、どっちも食べたい」という要望に応えられるというのは、悪いことではありません。
ただ、普通はどっちつかずの中途半端な料理に陥るもの。
たいがいファミレス的総花料理が関の山でしょう。
ところが、です。
食べてみると、これが結構意外にイケるのです。

「鱧の炙り ソルダムと胡瓜のサラダ添え」。
上手とは言えない骨切りながら、そこそこの鱧を使っています。
スモモの一種、ソルダムを使ったソースが甘酸のバランスが良く、浅くマリネしたキュウリとの相性も良いです。鱧と三位一体で口に入れると、夏らしい爽快感が広がります。
1600円という価格設定も良心的。

個人的に愛してやまないグラタン・ドーフィノワ。
じゃがいものグラタンですが、普通はグリュイエールチーズ系を使うところを、ここのはゴルゴンゾーラをたっぷりのせて焼き上げます。
モワーンと香るブルーチーズの湯気がたまりません。
どんな工夫をすれば、ものがより美味くなるか、分かっている人の料理です。

豚足と豚耳のソーセージ。
人気料理だそうですが、良く分かります。
コラーゲンぎっしりのプニプニ感が絶妙。
香辛料使いも、やり過ぎたところがありません。バランスがとれています。

穂先メンマのスパゲティ アーリオ・オーリオ 山椒の香り。
「メンマと麺で、イタリア風ラーメン」と訳のわからん説明にも妙に納得。
シナチクの食感と香り、抑制のきいたアーリオ・オーリオの塩と辛味加減、それに山椒の清冽さが加わり、かなり複雑な風味を形成しています。
遊び心もありつつ、完成度も目指した料理。なかなかやるもんです。
2人体制で人件費をセーブする経営は、どこかで限界に達するでしょう。
その時、店はブレークするのか、停滞へと向かうのか。
いずれにせよ、これからしばらくは波に乗って上昇していくこと間違いなし。
コスパがいいうちに、ちょいちょい通っておきたい一軒です。