




地図片手でも見事に迷った、新宿御苑の良く分からない場所にあります。
店内は、どう贔屓目に見ても褒める要素がありません。
椅子・テーブルともに安普請で、暗い店内は雑然とし、壁には統一感のないあれやこれやが貼り付けられています。
しかし。
予約の電話を入れた時の、女性店員さんの対応が、まず大変好印象。
さらに、道に迷って電話をしたら、親切にナビゲートしてくれて、しかも店の前に立って待っていてくれる心遣い。
オーダーの際も、食事中の受け答えも、大変こなれていています。
ガサツそうなお店にみえながら、細やかなサービスをしてくれるギャップが面白い。
ちなみにこの女性、ちょっと前まで赤坂「コムアラメゾン」にいた方に、顔とメガネがとてもよく似ていると思うのは私だけでしょうか。
さてさて、料理ですが、品数はそう多くないものの、食べたいと思うものが目白押しです。
肉料理は目移りしますし、野菜も面白そう。
あれこれ頼むと、パスタを食べる余裕は皆無となります。
できれば大人数で行って、すこしずつシェアするのが良いのでしょうね。

阿蘇のどこかからやってくる野菜のバーニャカウダ。
にんにくの良く効いた、正統派です。
ただ、お店のウリとするには、もう一工夫欲しいところです。なにせ野菜が良くあるものばかりなので、ちょっと退屈。

チーズマッシュポテト。オーベルニュの「アリゴ」のようなねばりはありません。
これがイタリアンかどうかは微妙ですが、味は大変おいしい。
何かは聞きませんでしたが、ハード系のコクと香りの高いチーズを使っています。

カルパッチョ。といいながら、あまり生肉感はありません。
すね肉のローストビーフ風は加熱されていますし、牛の生ハムも、豚ほどの脂身のおいしさはなし。ただ、燻製にしたレバ刺しは、面白い味でした。

ウリの門崎牛は、3種の串焼きを頼みました。
まずは、肩ロース串。これはサシが入った部位。脂に甘みがあって、マスタードやサルサ・ベルデと良く合います。ただ、たくさん食べるには重いでしょうか。

2本目はブリスケット(前股の内側にある肩 ばら肉)。
サシの少ない赤身系で、こっちの方が肉汁の香りが良く、牛らしい歯ごたえがあります。
次回は、赤身系を大きなポーションで焼いてもらって試したいものです。

意外においしい牛つくね。
要するにハンバーグの小さいやつです。

中はこのとおりレア。単なるひき肉ではなく、いろいろな部位が入っており、コリコリとした食感も加わっていて面白い。ネチョネチョこねたハンバーグとちがって、牛の持ち味を感じます。

こちらはすね肉と大豆の煮込み。
素朴な味わいです。この日一番のイタリア料理らしさ。
すね肉はややパサつきますが、煮汁を含ませて食べるとおいしく、さらに大豆をつぶして混ぜこぜにするといよいよ良い味。
こうした料理に、見たこともないビオワインを合わせて食します。
ソムリエ氏は、面倒くさがらず丁寧に説明してくれますが、普通の人のとってはややマニアックすぎるかもしれません。
牛込神楽坂のカルネヤほど予約が取りにくいわけでもなさそう。おまけに勘定もこちらの方が安いです。
肉イタリアンの選択肢が一つ増えました。
再訪が楽しみです。